熊本県多良木町槻木における釜炒り茶の製茶法

釜の設置方法から分類して平釜を用いる製茶法を広義の青柳製法とすると,平釜で炒って揉捻し,干さずに平釜で炒って仕上げる製茶法は狭義の青柳製法と言える。 熊本県内における青柳製法は,平釜で炒って揉捻し,干さずに平釜で炒って仕上げるが,宮崎県を中心とする地域では焙籠を用いる籠焙炉製法や室を用いる室製法もあった。焙籠は明治初期に紅茶や烏龍茶の乾燥用具から開発され,宮崎県や鹿児島県で普及している。室製法も明治時代中期に開発されており,槻木の室製法はこれの導入なのか,それとも椎茸やタケノコの乾燥に用いる道具の流用から考案されたのかは不明である。 いずれの製茶法も茶葉の収穫時期における荒炒り,揉捻,乾燥とい...

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Published inChagyō kenkyū hōkoku Vol. 2013; no. 116; pp. 116_33 - 116_39
Main Author 坂本, 孝義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本茶業学会 01.12.2013
日本茶業技術協会
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ISSN0366-6190
1883-941X
DOI10.5979/cha.2013.116_33

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Summary:釜の設置方法から分類して平釜を用いる製茶法を広義の青柳製法とすると,平釜で炒って揉捻し,干さずに平釜で炒って仕上げる製茶法は狭義の青柳製法と言える。 熊本県内における青柳製法は,平釜で炒って揉捻し,干さずに平釜で炒って仕上げるが,宮崎県を中心とする地域では焙籠を用いる籠焙炉製法や室を用いる室製法もあった。焙籠は明治初期に紅茶や烏龍茶の乾燥用具から開発され,宮崎県や鹿児島県で普及している。室製法も明治時代中期に開発されており,槻木の室製法はこれの導入なのか,それとも椎茸やタケノコの乾燥に用いる道具の流用から考案されたのかは不明である。 いずれの製茶法も茶葉の収穫時期における荒炒り,揉捻,乾燥という前処理と,一時保管した後に行われる後処理とに完全に分離した製茶法となっている珍しい製茶法である。茶の生産が盛んでない地域において,他の農作業の合間を見ながら茶を生産できる都合の良い製茶法であった。
Bibliography:870626
ZZ00016154
ISSN:0366-6190
1883-941X
DOI:10.5979/cha.2013.116_33