岡山県で分離された牛ウイルス性下痢ウイルスの遺伝子解析

2003~2006年に岡山県で牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV) 持続感染 (PI) 牛または輸入市販牛胎子血清 (FBS) から分離されたBVDV9株および検出された2遺伝子について遺伝子解析を実施した. 5'非コード領域 (5'NCR) の分子系統樹解析の結果, PI牛由来7株は1a (2株), 1b (2株), 1c (3株) に, エルサルバドル産およびカナダ産FBS由来2株は1b, 1dに, カナダ産FBS由来検出2遺伝子は1cにそれぞれ分類された. PI牛由来株のE2遺伝子解析の結果, 北海道由来株が県内公共育成牧場を介し伝搬したことが示唆され, また, 妊...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 61; no. 9; pp. 693 - 698
Main Authors 福冨, 豊子, 大内, 紀章, 澤田, 勝志, 平井, 伸明, 秦, 守男, 長井, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.09.2008
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Summary:2003~2006年に岡山県で牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV) 持続感染 (PI) 牛または輸入市販牛胎子血清 (FBS) から分離されたBVDV9株および検出された2遺伝子について遺伝子解析を実施した. 5'非コード領域 (5'NCR) の分子系統樹解析の結果, PI牛由来7株は1a (2株), 1b (2株), 1c (3株) に, エルサルバドル産およびカナダ産FBS由来2株は1b, 1dに, カナダ産FBS由来検出2遺伝子は1cにそれぞれ分類された. PI牛由来株のE2遺伝子解析の結果, 北海道由来株が県内公共育成牧場を介し伝搬したことが示唆され, また, 妊娠初期母牛へのBVDV生ワクチンの不適切な接種によるPI牛産生が示唆された. 5'NCRに比べ変化に富むE2遺伝子解析は, BVDVの疫学調査に有効と思われる. FBSの検査結果から, ヨーロッパで分離報告がされている1dがすでにカナダに侵入していることが示唆され, 今後, 輸入牛を介して国内に侵入する可能性が懸念される.
Bibliography:762743
ZZ00014801
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma1951.61.693