乳牛の子宮捻転整復における後肢吊り上げ法

乳牛の子宮捻転において, 患牛の後肢を吊り上げて, 降ろすことにより容易に捻転を整復することができた. 捻転方向を上にして牛を寝かせ, 両後肢の球節の直上をロープで結束し, トラクターで後躯を約1m吊り上げた後に, 術者は産道より胎子を把握しながら静かに降ろすことにより捻転を整復できた. 全例とも無麻酔下で行った. 3年間, 35例の子宮捻転に対して本法を試み, 29例は本法のみで整復でき, 23例の胎子が生きて生まれた. 28例は左方捻転, 7例は右方捻転であった. 母体回転法を併用したのは6例で, そのうち5例の胎子が死亡していた. 捻転整復後, 分娩まで24時間以上経過した4例の胎子はす...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 53; no. 5; pp. 297 - 301
Main Authors 石井, 三都夫, 金森, 隆, 遠藤, 正司, 鶴岡, 勇, 野沢, 利範, 福田, 雄, 山本, 康了, 実川, 豪志, 島村, 努, 内海, 晶彦, 松井, 伸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.05.2000
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Summary:乳牛の子宮捻転において, 患牛の後肢を吊り上げて, 降ろすことにより容易に捻転を整復することができた. 捻転方向を上にして牛を寝かせ, 両後肢の球節の直上をロープで結束し, トラクターで後躯を約1m吊り上げた後に, 術者は産道より胎子を把握しながら静かに降ろすことにより捻転を整復できた. 全例とも無麻酔下で行った. 3年間, 35例の子宮捻転に対して本法を試み, 29例は本法のみで整復でき, 23例の胎子が生きて生まれた. 28例は左方捻転, 7例は右方捻転であった. 母体回転法を併用したのは6例で, そのうち5例の胎子が死亡していた. 捻転整復後, 分娩まで24時間以上経過した4例の胎子はすべて死亡していた. 整復中および整復直後, 全例の母牛に異常は認められなかった. 本法は短時間かつ少人数で実施可能であり, 体力も必要としないことから, 臨床的応用価値が高いと思われた.
Bibliography:ZZ00014801
611560
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma1951.53.297