各種疾病時における牛血清α1-酸性糖蛋白

疾病牛95例, 臨床的に健康と思われる舎飼牛28例ならびに放牧牛10例について, 血清中のα1-酸性糖蛋白 (α1-AG) を一元放射免疫拡散法により測定した. α1-AGの平均値±標準偏差は, 健康牛では236±68μg/ml, 牛白血病牛では843±532μg/ml (n=28), 炎症性疾患牛では, 973±1, 099μg/ml (n=16) であった. 炎症性疾患の中でも肝膿瘍, 多発性膿瘍, 壊疽性乳房炎, 好酸球性筋炎, 肺炎などでは健康牛にくらべて著しい高値を示した. しかし, 脳膿瘍や髄膜炎あるいは脂肪肝を伴うものでは健康牛の範囲内にあり, 脂肪壊死症では健康牛よりも低値であ...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 42; no. 2; pp. 90 - 93
Main Authors 中川, 正裕, 粕谷, 光, 岸田, 忠政, 田村, 啓二, 横山, 亮一, 大橋, 義信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 01.02.1989
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma1951.42.90

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Summary:疾病牛95例, 臨床的に健康と思われる舎飼牛28例ならびに放牧牛10例について, 血清中のα1-酸性糖蛋白 (α1-AG) を一元放射免疫拡散法により測定した. α1-AGの平均値±標準偏差は, 健康牛では236±68μg/ml, 牛白血病牛では843±532μg/ml (n=28), 炎症性疾患牛では, 973±1, 099μg/ml (n=16) であった. 炎症性疾患の中でも肝膿瘍, 多発性膿瘍, 壊疽性乳房炎, 好酸球性筋炎, 肺炎などでは健康牛にくらべて著しい高値を示した. しかし, 脳膿瘍や髄膜炎あるいは脂肪肝を伴うものでは健康牛の範囲内にあり, 脂肪壊死症では健康牛よりも低値であった. 放牧牛ではヘマトクリット値の減少やタイレリア寄生による有意な変動は観察されなかったが, 肺炎を併発したものでは退牧時まで高値が継続した. 以上のことから, α1-AGは牛白血病や炎症性疾患の診断や臨床経過観察の指標になると思われた.
Bibliography:391499
ZZ00014801
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma1951.42.90