鶏精子の代謝に及ぼすpHの影響
鶏においては, 副生殖器官液が射出時において精管から排出される精液のpHをアルカリ側に変化させることが推定されている。しかし, 鶏精子の代謝に対するpHの影響については必ずしも十分に追究されていない。そこで本実験は精子の運動性, ブドウ糖消費, 呼吸に対するpHの影響について検討した。 pHを5.0, 6.0, 7.0, 8.0および9.0に, 氷点降下度を-0.60°Cに調整したリン酸緩衝液を作成し, 各々に0.02Mのブドウ糖を添加して希釈液として使用した。精液は雄鶏5羽から腹部マッサージ法で採取した。その精液を各希釈液で10倍に希釈した後, 37°Cで5~7時間加温振盪し, 希釈精液のp...
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Published in | Nihon Kakin Gakkaishi Vol. 18; no. 1; pp. 40 - 44 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本家禽学会
01.01.1981
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Summary: | 鶏においては, 副生殖器官液が射出時において精管から排出される精液のpHをアルカリ側に変化させることが推定されている。しかし, 鶏精子の代謝に対するpHの影響については必ずしも十分に追究されていない。そこで本実験は精子の運動性, ブドウ糖消費, 呼吸に対するpHの影響について検討した。 pHを5.0, 6.0, 7.0, 8.0および9.0に, 氷点降下度を-0.60°Cに調整したリン酸緩衝液を作成し, 各々に0.02Mのブドウ糖を添加して希釈液として使用した。精液は雄鶏5羽から腹部マッサージ法で採取した。その精液を各希釈液で10倍に希釈した後, 37°Cで5~7時間加温振盪し, 希釈精液のpHの変化, 精子の運動性, ブドウ糖消費量および呼吸活性を経時的に測定した。さらに, 精子の運動性, ブドウ糖消費量あるいは呼吸活性と希釈精液のpHの実測値との間の二次回帰式を求め, 各観察時における最適pH値を推定した。その結果は以下のとおりである。1) 精子の運動性に対する最適pH値は加温開始時, 7.5; 1時間後, 7.3; 3時間後, 7.2; 5時間後, 7.2; 7時間後, 7.0であった。2)精子のブドウ糖消費に対する最適pH値は加温1時間後, 9.1; 3時間後, 7.4; 5時間後, 7.2; 7時間後, 7.1であった。3) 精子の呼吸代謝に対する最適pH値は加温開始時, 7.8; 1時間後, 8.2; 3時間後, 7.5および5時間後7.8と推定された。4) 精子の運動性, 解糖および呼吸に対する加温初期の最適pH値が7.0よりもかなりアルカリ側に傾いていることから考えて, 副生殖器官液が自然交尾時に精管より排出される精液のpHをアルカリ側に変化させることは, 射出精子の運動および代謝を活発にさせる重要な要因の一つと推察された。 |
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Bibliography: | 231496 ZZ20005654 |
ISSN: | 0029-0254 |
DOI: | 10.2141/jpsa.18.40 |