エストロジェン処置によるヤギ乳房炎の乳質変化

乳房炎の発症機序解明のために,エストロジェン及び細菌を処置した日本在来種のヤギで試験を行い,次のような結果を得た。 8頭の泌乳ヤギのうち,4頭にエストラジオールベンゾエート(300μg/頭/日)を5日間連続で皮下注射し,6日目に右側乳頭のみにゾンデを使用してStaphylococcus aureus 209-P株の70×109/mlを注入(EB群)した。左側乳頭(E群)はそのまま試験に供した。他の4頭は同時期に右側乳頭のみに同量の菌を注入(B群)し,左側乳頭(C群)は対照として供試した。採乳はホルモン処置前,細菌注入直前,菌注入後1日目,2日目,3日目及び1週間目に行った。 乳中細菌数はEB,...

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Published inKachiku hanshokugaku zasshi (Tōkyō. 1977) Vol. 26; no. 4; pp. 158 - 164
Main Authors 飯塚, 三喜, 元井, 葭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本繁殖生物学会 01.12.1980
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Summary:乳房炎の発症機序解明のために,エストロジェン及び細菌を処置した日本在来種のヤギで試験を行い,次のような結果を得た。 8頭の泌乳ヤギのうち,4頭にエストラジオールベンゾエート(300μg/頭/日)を5日間連続で皮下注射し,6日目に右側乳頭のみにゾンデを使用してStaphylococcus aureus 209-P株の70×109/mlを注入(EB群)した。左側乳頭(E群)はそのまま試験に供した。他の4頭は同時期に右側乳頭のみに同量の菌を注入(B群)し,左側乳頭(C群)は対照として供試した。採乳はホルモン処置前,細菌注入直前,菌注入後1日目,2日目,3日目及び1週間目に行った。 乳中細菌数はEB,B群ともに細菌注入後24時間で急激に増加し,以後やや減少の傾向を示したが,1週間で再び増加した。乳汁pHの著明な変動はみられなかったが,乳中電解質はかなり増減した。すなわち,EB,B群における乳汁ナトリウム(Na)とクロール(Cl)の変動は類似しており,24時間で急激に増加し,Clは72時間目にやや減少するが,それ以後再び増加の傾向を示した。NaはB群がやや早く減少したが,1週間目に再び増加した。カリウムはEB群で漸減の傾向を示した。E,C群の乳質も変動範囲は小さいが,EB,B群とほぼ同じ傾向を示した。乳中カリクレイン量はC群に比較して,E,B,EB群の順で高値を示した。
Bibliography:ZZ00021434
223021
ISSN:0385-9932
DOI:10.1262/jrd1977.26.158