有機リン殺虫剤サリチオンの畑地土壌中における分解

サリチオン (2-メトキシ-4H-1,3,2-ベンゾジオキサボスホリン-2-スルフィド) のフェニル環を14Cで標識した化合物を用いて, 2種類の日本の土壌中における分解について検討した. サリチオンは好気的畑地条件下において, 3日以内の半減期で速やかに消失し, 最終的には14CO2および bound 14C となった. おもな分解経路はP-O-アリール結合およびP-O-アラルキル結合の開裂, 脱メチル化およびP=SからP=Oへの酸化であった. 滅菌条件下においてはサリチオンの分解が抑制されたことから, サリチオンの土壌中における分解には微生物が関与していることが示唆された. また, 牛久土...

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Published inJournal of Pesticide Science Vol. 15; no. 4; pp. 561 - 566
Main Author 井藤, 和人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 1990
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ISSN1348-589X
0385-1559
1349-0923
DOI10.1584/jpestics.15.561

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Summary:サリチオン (2-メトキシ-4H-1,3,2-ベンゾジオキサボスホリン-2-スルフィド) のフェニル環を14Cで標識した化合物を用いて, 2種類の日本の土壌中における分解について検討した. サリチオンは好気的畑地条件下において, 3日以内の半減期で速やかに消失し, 最終的には14CO2および bound 14C となった. おもな分解経路はP-O-アリール結合およびP-O-アラルキル結合の開裂, 脱メチル化およびP=SからP=Oへの酸化であった. 滅菌条件下においてはサリチオンの分解が抑制されたことから, サリチオンの土壌中における分解には微生物が関与していることが示唆された. また, 牛久土壌 (黒ボク土) におけるサリチオンの消失には非生物的な bound 14C の形成も関与していることが示唆された.
Bibliography:470713
ZZ00015061
ISSN:1348-589X
0385-1559
1349-0923
DOI:10.1584/jpestics.15.561