外耳道に突出した猫の鼻咽頭ポリープの細胞学的特徴

• Published in: Nippon Juishikai zasshi Vol. 69; no. 7; pp. 401 - 404
• Main Authors: 川部, 美史, 酒井, 洋樹, 伊藤, 祐典, 村上, 麻美, 大脇, 啓嗣, 柳井, 徳磨
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益社団法人 日本獣医師会 20.07.2016
• Subjects: 猫の鼻咽頭ポリープ; 細胞診; 線毛上皮細胞
• ISSN: 0446-6454; 2186-0211
• DOI: 10.12935/jvma.69.401

鼻咽頭ポリープは，猫でみられる中耳あるいは耳管に由来する非腫瘍性の有茎性の腫瘤状病変で，外耳道に突出したものは，外耳道に由来する腫瘍性病変との鑑別が必要となる．今回，外耳道に突出した鼻咽頭ポリープ4例の細胞学的特徴の診断上の有用性を検討した．いずれの症例の鼻咽頭ポリープの切除組織の押捺標本においても，多数の好中球やマクロファージ，少数のリンパ球や形質細胞ともに，一端に赤紫色の線毛を有する上皮細胞が孤在性や柵状の集塊状に塗抹された．組織学的には，これらの線毛上皮細胞は，ポリープを覆う線毛を有する偽重層上皮細胞であり，線毛上皮細胞の存在は，中耳あるいは耳管に由来するとされる猫の鼻咽頭ポリープの特徴的な細胞学的所見と考えられた．