回転した膀胱による尿路再建術を実施した尿道移行上皮癌の犬の1例

尿道移行上皮癌に罹患した12歳7カ月齢のミニチュア・ダックスフンド,避妊雌に対して尿道全摘出及び膀胱─膣吻合による尿路再建術を実施した.尿路欠損部が広範であったため,膀胱尖部に小孔を作製し,膀胱尖を腹側方向で反転させて膀胱体を尾側に移動し,膣と縫合した.術直後より随意ではないものの,外陰部からの排尿が可能であった.第126病日のX線CT検査で内側腸骨リンパ節転移が疑われたが,症例のQOLは維持されていた.尿道全摘出及び膀胱─膣吻合による尿路再建術の報告は少なく,また本症例のように膀胱を反転させて行った報告は存在しない.今回の術式は,膀胱の機能は温存できてはいないが,雌犬の尿道移行上皮癌に対する...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 70; no. 7; pp. 443 - 447
Main Authors 衛藤, 翔太郎, 谷, 健二, 伊藤, 晴倫, 檜山, 雅人, 西川, 晋平, 原口, 友也, 板本, 和仁, 田浦, 保穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.07.2017
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Summary:尿道移行上皮癌に罹患した12歳7カ月齢のミニチュア・ダックスフンド,避妊雌に対して尿道全摘出及び膀胱─膣吻合による尿路再建術を実施した.尿路欠損部が広範であったため,膀胱尖部に小孔を作製し,膀胱尖を腹側方向で反転させて膀胱体を尾側に移動し,膣と縫合した.術直後より随意ではないものの,外陰部からの排尿が可能であった.第126病日のX線CT検査で内側腸骨リンパ節転移が疑われたが,症例のQOLは維持されていた.尿道全摘出及び膀胱─膣吻合による尿路再建術の報告は少なく,また本症例のように膀胱を反転させて行った報告は存在しない.今回の術式は,膀胱の機能は温存できてはいないが,雌犬の尿道移行上皮癌に対する治療の選択肢の1つになるかもしれない.
Bibliography:912778
ZZ00014801
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.70.443