PKD1遺伝子変異が認められ長期間観察した多発性嚢胞腎猫の囊胞液の変化

近医にて水腎症が疑われた4歳齢,雑種,去勢雄猫で,単純X線検査では両側腎臓の腫大が,また超音波検査で腎実質の複数の囊胞性無エコー領域が認められた. PCR-RFLP法を用いたPKD1遺伝子診断では,PKD1遺伝子の点変異(3284C →A)が検出されたことから,遺伝子変異による猫の多発性囊胞腎と診断した. 初診時血液検査では高窒素血症,高リン血症を認め,短期間の腹膜透析の後,輸液と腎臓病用療法食の給与により維持し,約1年間経過を観察した. 両側の腎臓から採取した囊胞液分析では,Cl-とNa+濃度が高値を示した. この所見は,経過観察期間を通じて変わらなかった. いっぽう,囊胞液中のN-acet...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 63; no. 10; pp. 791 - 796
Main Authors 佐藤, れえ子, 小林, 沙織, 佐々木, 一益, 宇都, 若菜, 御領, 政信, 佐々木, 淳, 神志那, 弘明, 大石, 明広, 安田, 準
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.10.2010
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Summary:近医にて水腎症が疑われた4歳齢,雑種,去勢雄猫で,単純X線検査では両側腎臓の腫大が,また超音波検査で腎実質の複数の囊胞性無エコー領域が認められた. PCR-RFLP法を用いたPKD1遺伝子診断では,PKD1遺伝子の点変異(3284C →A)が検出されたことから,遺伝子変異による猫の多発性囊胞腎と診断した. 初診時血液検査では高窒素血症,高リン血症を認め,短期間の腹膜透析の後,輸液と腎臓病用療法食の給与により維持し,約1年間経過を観察した. 両側の腎臓から採取した囊胞液分析では,Cl-とNa+濃度が高値を示した. この所見は,経過観察期間を通じて変わらなかった. いっぽう,囊胞液中のN-acetyl-β-D-glucosaminidase(NAG)濃度とNAGアイソザイムのB分画の値は経過とともに増加する傾向が認められた.
Bibliography:800280
ZZ00014801
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.63.791