輸入カニクイザルにおける結核症の集団発生事例

日本に輸入され,動物検疫所において検疫を実施していたカニクイザル32例において,ツベルクリン反応検査を実施したところ,9例が陽性または擬陽性と判定された.結核症が疑われる臨床症状は認められなかったが,病理組織学的に,肺,縦隔リンパ節等の臓器で抗酸菌を伴う結節性病変が認められ,細菌学的に,これらの臓器からMycobacterium tuberculosis(結核菌)が分離された.ツベルクリン反応検査及び病理学的検査の結果から,当該カニクイザル群に結核菌が数カ月以上前に侵入した後,同群内に伝播し拡散した状態にあったものと推察された.さらに,スポリゴタイピングにより遺伝子型別を実施したところ,分離菌...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 71; no. 7; pp. 369 - 375
Main Authors 大江, 紗希, 岡村, 直美, 阿久澤, 義徳, 近松, 絹代, 山田, 博之, 村瀬, 良朗, 御手洗, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.07.2018
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:日本に輸入され,動物検疫所において検疫を実施していたカニクイザル32例において,ツベルクリン反応検査を実施したところ,9例が陽性または擬陽性と判定された.結核症が疑われる臨床症状は認められなかったが,病理組織学的に,肺,縦隔リンパ節等の臓器で抗酸菌を伴う結節性病変が認められ,細菌学的に,これらの臓器からMycobacterium tuberculosis(結核菌)が分離された.ツベルクリン反応検査及び病理学的検査の結果から,当該カニクイザル群に結核菌が数カ月以上前に侵入した後,同群内に伝播し拡散した状態にあったものと推察された.さらに,スポリゴタイピングにより遺伝子型別を実施したところ,分離菌の遺伝子型はEAI2_MANILLAと判定された.
Bibliography:922595
ZZ00014801
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.71.369