黒毛和種繁殖牛で発生した傷害サツマイモ中毒

黒毛和種牛繁殖農場で,妊娠牛約25頭の群にサツマイモを3カ月給与したところ,3頭が急死し,他の6頭が呼吸器症状と皮下気腫を呈して死亡した.発症牛では,死亡前に血清AST及びγ-GTPの上昇が認められ,軽度の肝障害が示唆された.死亡牛では,肉眼的に肺の退縮不全,気腫及び水腫,肝臓表面の出血斑が認められた.組織学的に肺胞腔内へのマクロファージ及び好中球の著しい浸潤,Ⅱ型肺胞上皮細胞の増殖,間質性肺気腫及び限局的な肝細胞壊死が認められた.給与サツマイモではカビの発生や黒変などが認められており,傷害を受けていた.これらのサツマイモからはFusarium 属真菌が分離され,また高性能薄層クロマトグラフィ...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 73; no. 5; pp. 253 - 258
Main Authors 中村, 誠, 日髙, 遼太郎, 北原, 尚英, 岩尾, 俊, 平島, 宜昌, 古川, 雅浩, 千歳, 健一, 山中, 典子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.06.2020
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Summary:黒毛和種牛繁殖農場で,妊娠牛約25頭の群にサツマイモを3カ月給与したところ,3頭が急死し,他の6頭が呼吸器症状と皮下気腫を呈して死亡した.発症牛では,死亡前に血清AST及びγ-GTPの上昇が認められ,軽度の肝障害が示唆された.死亡牛では,肉眼的に肺の退縮不全,気腫及び水腫,肝臓表面の出血斑が認められた.組織学的に肺胞腔内へのマクロファージ及び好中球の著しい浸潤,Ⅱ型肺胞上皮細胞の増殖,間質性肺気腫及び限局的な肝細胞壊死が認められた.給与サツマイモではカビの発生や黒変などが認められており,傷害を受けていた.これらのサツマイモからはFusarium 属真菌が分離され,また高性能薄層クロマトグラフィーによりイポメアマロンが検出された.以上から,これら症例を傷害サツマイモ中毒と診断した.
Bibliography:ZZ00014801
935045
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.73.253