シカ肉の生食による肺吸虫感染の可能性

岐阜県内3地域(A~C)で捕獲されたホンシュウジカCervus nippon centralis 148頭中2地域(B,C)の計4頭から抗肺吸虫抗体が確認された.B,C地域ではシカ肉が原因と疑われる人の肺吸虫症が報告されている.また,B地域のサワガニGeothelphusa dehaani からウェステルマン肺吸虫Paragonimus westermani(2倍体)のメタセルカリアが検出された.シカの第1胃内容を食物アレルギー物質スクリーニングキット(甲殻類用)で検査したところ,B地域のシカ1頭で陽性を示した.この胃内容物から発見された甲殻類の脚様異物から抽出したDNAはサワガニと一致した....

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 71; no. 8; pp. 449 - 453
Main Authors 吾妻, 健, ウィラチャイ, サイジュンタ, 粕谷, 志郎, 松尾, 加代子, 高島, 康弘, 阿部, 仁一郎, 森部, 絢嗣, 吉田, 彩子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.08.2018
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.71.449

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Summary:岐阜県内3地域(A~C)で捕獲されたホンシュウジカCervus nippon centralis 148頭中2地域(B,C)の計4頭から抗肺吸虫抗体が確認された.B,C地域ではシカ肉が原因と疑われる人の肺吸虫症が報告されている.また,B地域のサワガニGeothelphusa dehaani からウェステルマン肺吸虫Paragonimus westermani(2倍体)のメタセルカリアが検出された.シカの第1胃内容を食物アレルギー物質スクリーニングキット(甲殻類用)で検査したところ,B地域のシカ1頭で陽性を示した.この胃内容物から発見された甲殻類の脚様異物から抽出したDNAはサワガニと一致した.このことから,シカがサワガニを食しウェステルマン肺吸虫の待機宿主になり得ることが示唆された.
Bibliography:922599
ZZ00014801
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.71.449