片腎摘出糖尿病誘発マウスに於ける腎糸球体病変の検索

あらかじめ片腎を摘出したマウスにストレプトゾトシン(SZ)を投与(50mg/kg/day×5days)することにより糖尿病を誘発した. SZ投与終了後4週おきに剖検を行い, 12週後(12WAI)まで検索を行った. 片腎摘出糖尿病マウスでは4WAIからメサンジウム領域の拡張が認められ, 12WAIでは分節状の糸球体硬化症にまで発展した. 電子顕微鏡による観察では顕著なメサンジウム領域の拡張に加え, 分節状の糸球体基底膜の肥厚および上皮細胞の足突起の癒合, 毛細血管内皮細胞の微絨毛の増加などが認められた. 一方, 片腎摘出を行っていない糖尿病誘発マウスの糸球体では12WAIの時点でも弱から中程度...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 54; no. 6; pp. 1085 - 1090
Main Authors 久米, 英介, 土居, 千代, 板垣, 慎一, 長島, 吉和, 土井, 邦雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1992
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Summary:あらかじめ片腎を摘出したマウスにストレプトゾトシン(SZ)を投与(50mg/kg/day×5days)することにより糖尿病を誘発した. SZ投与終了後4週おきに剖検を行い, 12週後(12WAI)まで検索を行った. 片腎摘出糖尿病マウスでは4WAIからメサンジウム領域の拡張が認められ, 12WAIでは分節状の糸球体硬化症にまで発展した. 電子顕微鏡による観察では顕著なメサンジウム領域の拡張に加え, 分節状の糸球体基底膜の肥厚および上皮細胞の足突起の癒合, 毛細血管内皮細胞の微絨毛の増加などが認められた. 一方, 片腎摘出を行っていない糖尿病誘発マウスの糸球体では12WAIの時点でも弱から中程度のメサンジウム領域の拡張が認められたのみであった. また興味深いことに, 糖尿病を誘発していないマウスにおいてはボウマン嚢壁は立方上皮または低円柱上皮(male-type epithelium)によって覆われていたのに対し, 糖尿病誘発マウスにおいては扁平な上皮によって覆われていた.
Bibliography:480405
ZZ00004754
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.54.1085