パセリーにおけるペルオキシダーゼによるクロロフィルの分解

本研究は, パセリーにおけるペルオキシダーゼによるクロロフィルの分解について追究した. パセリー葉身のエタノール抽出物にペルオキシダーゼ並びに過酸化水素を添加すると, クロロフィルの分解が認められた. しかしながら, 精製したクロロフィルはペルオキシダーゼ•過酸化水素系で分解されなかった. この結果から, パセリーのエタノール抽出物中に含有される未知物質がペルオキシダーゼ•過酸化水素系によって酸化され, その酸化生成物がクロロフィルを分解しているものと思われたので, 以下未知物質の検討を行った. 未知物質は溶媒分画並びにカラムクロマトグラフィーによって分離され, 紫外部吸収極大位置からアピゲニ...

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Published inEngei Gakkai zasshi Vol. 54; no. 2; pp. 265 - 271
Main Authors 山内, 直樹, 南出, 隆久
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 園芸学会 1985
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Summary:本研究は, パセリーにおけるペルオキシダーゼによるクロロフィルの分解について追究した. パセリー葉身のエタノール抽出物にペルオキシダーゼ並びに過酸化水素を添加すると, クロロフィルの分解が認められた. しかしながら, 精製したクロロフィルはペルオキシダーゼ•過酸化水素系で分解されなかった. この結果から, パセリーのエタノール抽出物中に含有される未知物質がペルオキシダーゼ•過酸化水素系によって酸化され, その酸化生成物がクロロフィルを分解しているものと思われたので, 以下未知物質の検討を行った. 未知物質は溶媒分画並びにカラムクロマトグラフィーによって分離され, 紫外部吸収極大位置からアピゲニン配糖体であると推定した. さらに, 塩酸による加水分解によりアグリコンを抽出し, 薄層クロマトグラフィーでのRf値並びにスペクトル特性の検討により, 未知物質はパセリーの主要フラボノイドのアピゲニンであることを同定した. 以上の結果から, パセリーにおけるクロロフィルの分解は, ペルオキシダーゼがアピゲニンを酸化し, 生成したアピゲニンの酸化物がクロロフィルを分解することを認め, 収穫後におけるパセリーの黄化にペルオキシダーゼが関与しているものと推察した.
Bibliography:331626
ZZ00015006
ISSN:0013-7626
1880-358X
DOI:10.2503/jjshs.54.265