アーモンドの雌ずいならびに花粉のタンパク分析-とくに自家和合性遺伝子Sfとの関連について

1. アーモンドの自家和合性遺伝子Sfの起原と伝播ならびにアーモンド数品種のS遺伝子組成に関する我々の仮説を実証することを目的として, 新しく開発された銀染色法を用いた等電点電気泳動法ならびにSDS-PAGE法によって, 雌ずいならびに花粉のタンパクを分析した. その結果, Amygdalus webbii と‘Tuono’ に共通のいくつかのタンパクバンドが存在し, 前者から後者へSf遺伝子が伝えられた可能性が示唆された. 又, その他の品種, 系統についての分析結果より, S2,S3,S4に関与すると思われるいくつかのタンパクバンドも認められ, 今後さらに検討を加えることによって, 仮説の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inEngei Gakkai zasshi Vol. 56; no. 3; pp. 300 - 305
Main Author 山下, 研介
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 園芸学会 1987
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:1. アーモンドの自家和合性遺伝子Sfの起原と伝播ならびにアーモンド数品種のS遺伝子組成に関する我々の仮説を実証することを目的として, 新しく開発された銀染色法を用いた等電点電気泳動法ならびにSDS-PAGE法によって, 雌ずいならびに花粉のタンパクを分析した. その結果, Amygdalus webbii と‘Tuono’ に共通のいくつかのタンパクバンドが存在し, 前者から後者へSf遺伝子が伝えられた可能性が示唆された. 又, その他の品種, 系統についての分析結果より, S2,S3,S4に関与すると思われるいくつかのタンパクバンドも認められ, 今後さらに検討を加えることによって, 仮説の妥当性が実証されるものと思われた. 2. S遺伝子組成がいずれもS1S3と思われるアーモンド4品種 (系統) 間で人工受粉を行い, 雌ずい内の花粉管伸長を蛍光顕微鏡で観察した. その結果, これらの交配組み合わせでは, 柱頭への花粉の付着は不良で, 花粉管伸長に際してカロースの管壁への蓄積がきわめて不良であった. このことより, 484系統,‘Ferraduel’,‘Ferralise’ならびに892系統間には, 交配不和合性が存在するもと思われた. アーモンドの不和合反応においては, 柱頭がきわめて重要な役割を果しているものと思われる.
Bibliography:390732
ZZ00015006
ISSN:0013-7626
1880-358X
DOI:10.2503/jjshs.56.300