タイ南部の雨季と乾季におけるマングローブ林と大気の間のCO2と熱の交換

タイ南部のマングローブ林でCO2と熱の交換の特性を雨季と乾季について調べた。林上のCO2と熱フラックスの測定には2種類の改良傾度法 (Monji et al., 2002) を用いた。1つは顕熱フラックスを渦相関法で求めて傾度との関係から拡散係数を求め, それをCO2と水蒸気フラックスに適用する方法で, もう一つはこの森林の特定高度についてフラックスと傾度の関係, ここではΦmΦhとリチャードソン数の関係を求めておき, 傾度法を適用する方法である。後者はかなり雨が激しいときに顕熱フラックスが渦相関法で求まらないときに用いた。熱フラックスについては雨季と乾季では大きな違いが見られた。雨天日には大...

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Published inNōgyō kishō Vol. 58; no. 2; pp. 71 - 77
Main Authors 阿形, 由香理, チンタナ, ウィパック, 平野, 高司, 岩崎, 正浩, 文字, 信貴, 鱧谷, 憲, ピリヤヨータ, ソムサック, 矢吹, 萬壽, 西宮, 明文, 浜田, 宜冶
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本農業気象学会 2002
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ISSN0021-8588
1881-0136
DOI10.2480/agrmet.58.71

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Summary:タイ南部のマングローブ林でCO2と熱の交換の特性を雨季と乾季について調べた。林上のCO2と熱フラックスの測定には2種類の改良傾度法 (Monji et al., 2002) を用いた。1つは顕熱フラックスを渦相関法で求めて傾度との関係から拡散係数を求め, それをCO2と水蒸気フラックスに適用する方法で, もう一つはこの森林の特定高度についてフラックスと傾度の関係, ここではΦmΦhとリチャードソン数の関係を求めておき, 傾度法を適用する方法である。後者はかなり雨が激しいときに顕熱フラックスが渦相関法で求まらないときに用いた。熱フラックスについては雨季と乾季では大きな違いが見られた。雨天日には大きな上方向の潜熱フラックスがあり, これを補うように顕熱は大きく下方に運ばれていた。また, 雨天日にはCO2フラックスは日中でもわずかに上方向であった。全天日射量とCO2フラックスの関係は雨季と乾季では大きな相違を示さなかった。 マングローブ林内の微気象を調べるために, プローブを上下させて測定を行った。林内に進入する汽水は熱環境やCO2分布に影響を与えることがわかった。また, 林内のCO2は夜間に貯留され朝の日射の開始と共にそれが消費される様子が認められた。貯留の割合は風が強いときは林上のCO2フラックスに比べると小さいが, 弱風時には10%を超え, 無視できない量であることがわかった。
Bibliography:ZZ00015066
651552
ISSN:0021-8588
1881-0136
DOI:10.2480/agrmet.58.71