アスパラガスの不定胚増殖株,種子繁殖株の生長,収量および開花特性
本研究では,アスパラガスの選抜優良株を不定胚利用技術によりクローン増殖し,その栽培特性と有効性について検討した. 1.品種'ヒロシマグリーン'の若茎茎頂および'MW500W'種子実生節部から得られたembryogenic callus由来の不定胚再生株を,当センター圃場に1990年に定植し,露地で全期立茎栽培し,種子繁殖株と特性を比較した. 2.花の形態および性については,不定胚再生株が雌雄性,花の形態が同じ系統内で100%そろっていたのに対し,種子繁殖株は総じてほぼ1:1に雌雄が混在し,理論値と一致した.花の形態もさまざまであった.また,雄株由来の不定...
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Published in | Engei Gakkai zasshi Vol. 65; no. 2; pp. 311 - 319 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
一般社団法人 園芸学会
1996
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Summary: | 本研究では,アスパラガスの選抜優良株を不定胚利用技術によりクローン増殖し,その栽培特性と有効性について検討した. 1.品種'ヒロシマグリーン'の若茎茎頂および'MW500W'種子実生節部から得られたembryogenic callus由来の不定胚再生株を,当センター圃場に1990年に定植し,露地で全期立茎栽培し,種子繁殖株と特性を比較した. 2.花の形態および性については,不定胚再生株が雌雄性,花の形態が同じ系統内で100%そろっていたのに対し,種子繁殖株は総じてほぼ1:1に雌雄が混在し,理論値と一致した.花の形態もさまざまであった.また,雄株由来の不定胚再生株圃場では5年間の栽培で茎枯病の温床となる実生の発芽は認められなかった. 3.若茎品質では,不定胚再生株の頭部のしまり,茎の偏平度,色等がそろっていた.また,3倍体'ヒロシマグリーン'の不定胚増殖株は,遺伝性が高いと考えられる若茎のりん片葉の形が株分け増殖株と類似し,かつ系統内でそろっていた.さらに,同系統では,2倍体の種子繁殖株と比較して糖度が高く安定しており,親株の特性を維持していた. 4.不定胚再生雄株では全期立茎栽培で重要な立茎径が細いサイズによくそろった.種子繁殖株では,特に雌株の茎径が太くなっており,収穫する若茎の太さのばらつきの原因は雌株が混在するためであると推測された.また,'ヒロシマグリーン'の不定胚再生株は,長雨で被害を受けた圃場内でも10月下旬まで緑色葉を保ち,茎枯病に強い傾向が認められた. 5.'ヒロシマグリーン'不定胚再生雄株の1992-1994年の3年間の収量調査では,株当りの収穫本数,収穫量(重量)の変動係数はほぼ20%以下で等級別割合もよくそろっていた. 以上の結果,不定胚利用技術による優良株のクローン増殖は,栽培管理や品質にかかわる形質がそろい,高収益栽培に有効であることを明らかにした. |
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Bibliography: | 541941 ZZ00015006 |
ISSN: | 0013-7626 1880-358X |
DOI: | 10.2503/jjshs.65.311 |