カキとナシにおける摘果の適正範囲と最適果重の推定
ナシおよびカキを用い葉面積1m2当たりの着果数を基にして摘果の適正範囲の推定と, 更に市場単価を考慮した最適果重の推定法をまとめた. 1. ナシの着果数と平均果重は負の相関を示した. この傾向はカキでもみられたが, 葉面積1m2当たり2~3果まで着果数が少なくなると, 果実が品種固有の大きさの限界に近づいたことを示した. この点を摘果による果実肥大効果の消滅点と仮称した. 2. 着果数と果実生産量の間に高い正の相関が認められた. 相関係数の2乗の寄与率により, 摘果の影響は平均果重よりも果実生産量の面により大きく現われることが明らかとなつた. ナシの収穫果重の変異係数は20%内外, カキでは1...
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Published in | Engei Gakkai zasshi Vol. 43; no. 4; pp. 368 - 376 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
一般社団法人 園芸学会
1975
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Summary: | ナシおよびカキを用い葉面積1m2当たりの着果数を基にして摘果の適正範囲の推定と, 更に市場単価を考慮した最適果重の推定法をまとめた. 1. ナシの着果数と平均果重は負の相関を示した. この傾向はカキでもみられたが, 葉面積1m2当たり2~3果まで着果数が少なくなると, 果実が品種固有の大きさの限界に近づいたことを示した. この点を摘果による果実肥大効果の消滅点と仮称した. 2. 着果数と果実生産量の間に高い正の相関が認められた. 相関係数の2乗の寄与率により, 摘果の影響は平均果重よりも果実生産量の面により大きく現われることが明らかとなつた. ナシの収穫果重の変異係数は20%内外, カキでは10~14%であつた. 変異係数と着果数の間には相関がなく, ある程度の手による摘果を行なつた場合, 収穫果重の変異係数はほぼ同じであつた. 3. 農林省規格により, カキでは136g, ナシは195g以上の果実を marketable fruit とみた. 着果数と平均果重, 着果数と果実生産のそれぞれの関係式と, 果重の変異係数などを用いて, 着果数の変化に対応する marketable fruit の生産量の算出法をまとめた. marketable fruit の生産量の推移線は, 出荷規格として果重に下限があれば, 最大値を有する一頂曲線となつた. 4. 摘果による果実肥大効果の消滅点に対応する葉面積1m2当たり着果数から, marketable fruit の生産量の最大値に対応する着果数までを摘果の適正範囲とした. 5. 従来の摘果基準では固定的な葉果比が用いられ, 他方, 最適果重は市場単価の面からのみ推定され, 両者間の関連性については未検討であつた. 本報では, marketable fruit の生産量の推移と, 粗収入を一定とした場合の marketable fruit の生産量の逆数を求め, それを平均果重に対する基準単価曲線とし, さらに実際の単価の推移線との比較から, 粗収入が最大となる点に対応する果実の大きさを最適果重とした. すなわち最適果重の推定には, 平均果重のみならず, 果実生産量の推移を加えて検討すべきことを明らかにした. |
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Bibliography: | ZZ00015006 110206 |
ISSN: | 0013-7626 1880-358X |
DOI: | 10.2503/jjshs.43.368 |