シンビジウムの花粉形成ならびに「花飛び」現象に及ぼす高温およびGA3の影響

「花飛び」現象を誘起する高温の影響と花粉形成段階との関係を明らかにするため, 花らいの外花被長と花粉形成段階との相関を小型シンビジウムのサザナミ'ハルノウミ'を用いて調べた. 1.花らいの着生位置によらず, 減数分裂期までは両者に密接な相関のあることが明らかとなった. 胞原細胞期にあった花らいは, 高温 (昼30°C/夜25°C) では減数分裂過程に入ることなく枯死し, 前減数分裂期のものは減数分裂をした後, 種々の段階で枯死した. 2.花粉形成が減数分裂期まで進んだ花らいは, 高温でも「花飛び」を起こさず, 正常に開花した. 3.GA3処理は低温の不足を補完し, 減数分裂...

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Published inEngei Gakkai zasshi Vol. 60; no. 1; pp. 149 - 157
Main Author 大野, 始
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 園芸学会 1991
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ISSN0013-7626
1880-358X
DOI10.2503/jjshs.60.149

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Summary:「花飛び」現象を誘起する高温の影響と花粉形成段階との関係を明らかにするため, 花らいの外花被長と花粉形成段階との相関を小型シンビジウムのサザナミ'ハルノウミ'を用いて調べた. 1.花らいの着生位置によらず, 減数分裂期までは両者に密接な相関のあることが明らかとなった. 胞原細胞期にあった花らいは, 高温 (昼30°C/夜25°C) では減数分裂過程に入ることなく枯死し, 前減数分裂期のものは減数分裂をした後, 種々の段階で枯死した. 2.花粉形成が減数分裂期まで進んだ花らいは, 高温でも「花飛び」を起こさず, 正常に開花した. 3.GA3処理は低温の不足を補完し, 減数分裂細胞分化や花粉形成, 花らいの正常な発育•開花を誘起した. 4.これらの結果から, 少なくとも前減数分裂期には20°C以下の低温が減数分裂細胞分化や花粉形成, 花らいの発育のために必要であることが示された. 5.小胞子は同一やく内においてさえ, さまざまな配列型を示した. 1核性小胞子と2核性小胞子とでは,各配列型の存在比率に差が見られた. 前者は対照区およびGA3処理区の「花飛び」を起こした花らいで見られ,大部分が二分子で四分子の比率は低かった. 後者は「花飛び」を起こした対照区の花らいとGA3処理により開花した花で見られ, 四分子の比率が二分子よりかなり高かった. しかし, これらの四分子における各配列型の比率は「花飛び」の発生やGA3処理により変化しなかった.
Bibliography:ZZ00015006
471766
ISSN:0013-7626
1880-358X
DOI:10.2503/jjshs.60.149