犬の術後縫合糸肉芽腫に関する病理学的研究

術後縫合糸肉芽腫と診断された犬40例について病理組織学的検索を行った.犬種別ではミニチュアダックスフンドが17例と最も多く,性別は雄22例,雌18例であった.年齢は平均5.04歳であった.部位は鼠径部,腹部および腹腔の順に高く,40例中27例は避妊・去勢手術の既往歴を有していた.縫合糸別では絹糸が半数以上を占め,次いでマルチフィラメント吸収糸の順であった.病理組織学的には,縫合糸を取り囲んだ化膿性肉芽腫と壊死性肉芽腫が主体であったが,縫合糸を含まない結節性病変も多数混在していた.病変の程度は絹糸とマルチフィラメント吸収糸を用いた症例において比較的強く認められた.本研究の結果,縫合糸の種類や犬種...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 62; no. 5; pp. 388 - 394
Main Authors 土田, 靖彦, 朴, 天鎬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.05.2009
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Summary:術後縫合糸肉芽腫と診断された犬40例について病理組織学的検索を行った.犬種別ではミニチュアダックスフンドが17例と最も多く,性別は雄22例,雌18例であった.年齢は平均5.04歳であった.部位は鼠径部,腹部および腹腔の順に高く,40例中27例は避妊・去勢手術の既往歴を有していた.縫合糸別では絹糸が半数以上を占め,次いでマルチフィラメント吸収糸の順であった.病理組織学的には,縫合糸を取り囲んだ化膿性肉芽腫と壊死性肉芽腫が主体であったが,縫合糸を含まない結節性病変も多数混在していた.病変の程度は絹糸とマルチフィラメント吸収糸を用いた症例において比較的強く認められた.本研究の結果,縫合糸の種類や犬種によって発生頻度が異なること,避妊・去勢手術後の発生が最も一般的であることが示唆された.
Bibliography:ZZ00014801
773012
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.62.388