心膜切除術を実施した化膿性心膜炎の猫の1例

症例は,去勢雄,体重3.85 kg(BCS 4/9),年齢不詳の日本猫であり,心膜水貯留の精査を目的に紹介来院した。胸部X線検査において心陰影の拡大,心臓超音波検査において心膜水の貯留および心膜腔内に低エコー源性の構造物の浮遊を認めた。全身麻酔下にて心膜穿刺を実施し,黄色混濁の心膜水を50 mL抜去した。心膜水の細胞成分は好中球が主体であり,心膜炎を疑った。内科療法を実施し経過観察を行ったが,心膜水が再貯留したため,第11病日に肋間開胸による心膜切除術を実施した。切除した心膜組織は病理組織学的検査に供し,化膿性心膜炎と診断された。術後は閉胸時に留置したドレーンを用いて胸腔洗浄を実施し,胸水貯留...

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Published inDōbutsu no junkanki Vol. 56; no. 1; pp. 25 - 30
Main Author 桑原, 慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本獣医循環器学会 2023
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ISSN0910-6537
1883-5260
DOI10.11276/jsvc.56.25

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Summary:症例は,去勢雄,体重3.85 kg(BCS 4/9),年齢不詳の日本猫であり,心膜水貯留の精査を目的に紹介来院した。胸部X線検査において心陰影の拡大,心臓超音波検査において心膜水の貯留および心膜腔内に低エコー源性の構造物の浮遊を認めた。全身麻酔下にて心膜穿刺を実施し,黄色混濁の心膜水を50 mL抜去した。心膜水の細胞成分は好中球が主体であり,心膜炎を疑った。内科療法を実施し経過観察を行ったが,心膜水が再貯留したため,第11病日に肋間開胸による心膜切除術を実施した。切除した心膜組織は病理組織学的検査に供し,化膿性心膜炎と診断された。術後は閉胸時に留置したドレーンを用いて胸腔洗浄を実施し,胸水貯留が減少した第18病日にドレーンを抜去し退院した。現在,術後480日以上経過するも一般状態は良好である。
Bibliography:ZZ00011639
950010
ISSN:0910-6537
1883-5260
DOI:10.11276/jsvc.56.25