小型漁船への影響を考慮した海洋波の線形自己回帰モデルを用いた時系列解析

大型船に対しては大きな影響が無いため,有義波高が1 [m]以下の風浪に関する研究は少ない。しかし,19 [GT]の小型船では,有義波高が0.9 [m]であっても,両振幅で30 [deg]以上の横揺れが生じることがある。30 [deg]の横揺れでは転覆には至らないが甲板上にいる作業者が海中転落する可能性が高い。寒冷海域や夜間における海中転落は死に直結すると言っても過言ではない。本研究では小型船に影響を与えるところの沿岸域における波浪特性を明らかにするためAkaike によって提案された線形自己回帰モデルを用いたパワースペクトル密度関数の推定法を用いて,計測された海面変位の時系列データを解析する。...

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Published in日本水産工学会誌 Vol. 58; no. 1; pp. 1 - 10
Main Authors 上野, 公彦, 村上, 敬
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本水産工学会 15.07.2021
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Summary:大型船に対しては大きな影響が無いため,有義波高が1 [m]以下の風浪に関する研究は少ない。しかし,19 [GT]の小型船では,有義波高が0.9 [m]であっても,両振幅で30 [deg]以上の横揺れが生じることがある。30 [deg]の横揺れでは転覆には至らないが甲板上にいる作業者が海中転落する可能性が高い。寒冷海域や夜間における海中転落は死に直結すると言っても過言ではない。本研究では小型船に影響を与えるところの沿岸域における波浪特性を明らかにするためAkaike によって提案された線形自己回帰モデルを用いたパワースペクトル密度関数の推定法を用いて,計測された海面変位の時系列データを解析する。対象とする有義波高が1 [m]の未満の時系列データについて既往の研究の検証をも行う。今回は十分に発達した海洋波の理論を用いて,未発達な有義波高が1 [m]未満の時系列データを解析したが大きなずれは見られなかった。最大波高の期待値に関しては,過小評価の無かったCartwright and Longuet-Higgins の式を用いることが安全という観点からは望ましいといえる。
Bibliography:ZZ00011795
938657
ISSN:0916-7617
2189-7131
DOI:10.18903/fisheng.58.1_1