スクレイピーに関する調査 : PrPscの検出及びPrP遺伝子型の分析

現在わが国におけるスクレイピーの汚染状況を把握するために, 1988年から1993年までに北海道, 東北, 関東及び中部地方から集めた主にサフォーク種の羊197頭の脳, 脾臓及びリンパ節からPrPscの検出を行った. そのうち北海道の16頭及び他地域の2頭からPrPscが検出されたが, 後者の2頭も北海道から導入された個体であった. 一方, これらの18頭のスクレイピー感染羊におけるPrP遺伝子を含む染色体DNAの制限酵素切断断片の多様性(RFLP)の各型の出現頻度を, 128頭の健康な羊における出現頻度と比較して, RFLPの特異的な型とスクレイピーの自然感染との間に相関があることを確認した...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 56; no. 4; pp. 627 - 632
Main Authors 小野寺, 朝子, 池田, 徹也, 堀内, 基広, 石黒, 直隆, 小沼, 操, 平野, 紀夫, 見上, 彪, 本多, 英一, 平井, 克哉, 甲斐, 一成, 柚木, 弘之, 村松, 康和, 品川, 森一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1994
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:現在わが国におけるスクレイピーの汚染状況を把握するために, 1988年から1993年までに北海道, 東北, 関東及び中部地方から集めた主にサフォーク種の羊197頭の脳, 脾臓及びリンパ節からPrPscの検出を行った. そのうち北海道の16頭及び他地域の2頭からPrPscが検出されたが, 後者の2頭も北海道から導入された個体であった. 一方, これらの18頭のスクレイピー感染羊におけるPrP遺伝子を含む染色体DNAの制限酵素切断断片の多様性(RFLP)の各型の出現頻度を, 128頭の健康な羊における出現頻度と比較して, RFLPの特異的な型とスクレイピーの自然感染との間に相関があることを確認した. すなわちスクレイピー感染羊におけるRFLP型I型の頻度は健康な羊におけるI型の頻度や, スクレイピー感染羊における他の型の頻度に比べて有意に高くなっていた. 一方II型とVI型の頻度はスクレイピー感染羊に比べて健康な羊で高くなっていた. ゆえに日本のサフォーク種において, I型の羊はスクレイピーに対して感受性であり, II型とVI型の羊は抵抗性であることが示唆された. さらにスクレイピー感受性に関わる遺伝学的な背景を明らかにするために, 我が国における羊PrP遺伝子のRFLP型の分布を161頭の羊で調べた. 各々の地方でRFLP型の分布に若干差が認められた.
Bibliography:500674
ZZ00004754
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.56.627