F344ラットにおける可移植性単核細胞白血病, 特に移植部位に発生する結節性腫瘍

F344ラットに自然発生した単核細胞白血病(MCL)から可移植性MCLを作出した. 本研究では皮下の移植部位に発生する結節性腫瘍(MCL-YSK)を特に詳細に検索した. MCL-YSKは同種ラットの皮下組織において19代まで連続継代された. MCL-YSKからの移植片は皮下移植9週後に直径3cm, 重さ11.3gの結節に成長した. 結節を構成する腫蕩細胞は, 電顕的にリソソーム様の構造を示すアズール好性の細胞質内顆粒を有した. 腫瘍細胞は, 酸ホスファターゼ及び非特異的エステラーゼに対して陽性であったが, アルカリホスファターゼ, α-1アンチトリプシン及びリゾチームに対して陰性であり, また...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 53; no. 4; pp. 585 - 592
Main Authors 山手, 丈至, 伊原, 三重子, 工藤, 悟, 田島, 正典, 渋谷, 一元, 斎藤, 敏樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1991
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ISSN0916-7250
1347-7439
DOI10.1292/jvms.53.585

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Summary:F344ラットに自然発生した単核細胞白血病(MCL)から可移植性MCLを作出した. 本研究では皮下の移植部位に発生する結節性腫瘍(MCL-YSK)を特に詳細に検索した. MCL-YSKは同種ラットの皮下組織において19代まで連続継代された. MCL-YSKからの移植片は皮下移植9週後に直径3cm, 重さ11.3gの結節に成長した. 結節を構成する腫蕩細胞は, 電顕的にリソソーム様の構造を示すアズール好性の細胞質内顆粒を有した. 腫瘍細胞は, 酸ホスファターゼ及び非特異的エステラーゼに対して陽性であったが, アルカリホスファターゼ, α-1アンチトリプシン及びリゾチームに対して陰性であり, また抗ラット単球/マクロファージ単クローン抗体及び抗ラットCD-8単クローン抗体に対して反応しなかった. 腫瘍細胞はFcレセプターを有した. 皮下結節が平均直径1cmに達した移植6週後に白血病細胞が初めて末梢血に出現した. その後, 移植宿主においてMCL-YSKの増殖に伴って白血病性変化が進行した. 移植宿主は, 移植後8から12週にかけて貧血, 元気消失, 肝脾腫及びリンパ節腫大を示して死亡した. また, 拡散した腫瘍細胞の濔漫性あるいは巣状増殖が多くの臓器に観察され, 溶血性貧血を示唆する血液学的変化, 肝機能障害を示唆する血漿酵素の増加及び肝薬物代謝酵素活性の低下があった. MCL-YSKは無胸腺ヌードマウスにも容易に移植された. 移植されたマウスは, MCL-YSKを移植されたラットと同様の白血病性変化を示した.
Bibliography:472457
ZZ00004754
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.53.585