野菜に残留する殺菌剤クロロタロニルを測定するための直接競合ELISAの開発

野菜中に残留するクロロタロニルを迅速・簡便に測定する直接競合ELISAの開発を試みた.まず,ペンタクロロフェノールのカルボン酸誘導体を用いて,モノクローナル抗体(MoAb)を作製した.その中でもMoAb TPN9Aは,クロロタロニルの測定に適していた.野菜中のクロロタロニルは,磨砕均一化後に作物由来の酵素によって速やかに分解することが知られている.その防止には,一般的にリン酸が添加(野菜–10%リン酸(2 : 1,w/v))される.直接競合ELISAでは,このリン酸の添加が測定に影響を与えるが,競合反応に用いるリン酸緩衝液のイオン強度を100 mmol/Lにすることでその影響を解消できた.至適...

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Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 55; no. 2; pp. 65 - 72
Main Authors 岡崎, 史子, 平川, 由紀, 山口(村上), 友貴絵, 原田, 亜矢子, 渡辺, 栄喜, 岩佐, 精二, 成田, 宏史, 三宅, 司郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
English
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.04.2014
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Summary:野菜中に残留するクロロタロニルを迅速・簡便に測定する直接競合ELISAの開発を試みた.まず,ペンタクロロフェノールのカルボン酸誘導体を用いて,モノクローナル抗体(MoAb)を作製した.その中でもMoAb TPN9Aは,クロロタロニルの測定に適していた.野菜中のクロロタロニルは,磨砕均一化後に作物由来の酵素によって速やかに分解することが知られている.その防止には,一般的にリン酸が添加(野菜–10%リン酸(2 : 1,w/v))される.直接競合ELISAでは,このリン酸の添加が測定に影響を与えるが,競合反応に用いるリン酸緩衝液のイオン強度を100 mmol/Lにすることでその影響を解消できた.至適化した直接競合ELISAの測定範囲は0.10~6.0 ng/mL,キュウリとナスへ添加したクロロタロニルは97.1~125%と100%を超える傾向を認めつつ良好に回収できた.また,HPLCとも高い相関性を認めた.開発したELISAは,メタノール抽出とその希釈のみで,迅速・簡便にクロロタロニルを測定できた.
Bibliography:ZZ00009680
872170
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.55.65