一腹離乳母豚とナース後離乳後母豚における唾液中プロジェステロンおよび背脂肪厚と繁殖成績の関連性

本研究の目的は,一腹離乳母豚とナース後離乳母豚の唾液中プロジェステロン(PRG)濃度の比較,PRG濃度および背脂肪厚と繁殖成績の関連性を分析することである。なおナースとは,母豚に自分の子豚を離乳した直後に,他の母豚から里子をつけることである。繁殖雌豚300頭一貫経営農場を2005年から2006年に13回訪問し,一腹離乳母豚138頭,ナース後離乳母豚42頭から唾液サンプルを収集した。参考サンプルとして,無作為に選抜した妊娠豚15頭から唾液を収集した。母豚毎に繁殖成績の記録を抽出した。離乳母豚全てのサンプルにおける唾液中PRG濃度上位25%をHIGHグループ(≥3.1ng/ml),それ以外をOTH...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapan society of veterinary epidemiology Vol. 12; no. 1; pp. 36 - 42
Main Authors 田中, 祐樹, 高井, 康孝, 纐纈, 雄三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 獣医疫学会 2008
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:本研究の目的は,一腹離乳母豚とナース後離乳母豚の唾液中プロジェステロン(PRG)濃度の比較,PRG濃度および背脂肪厚と繁殖成績の関連性を分析することである。なおナースとは,母豚に自分の子豚を離乳した直後に,他の母豚から里子をつけることである。繁殖雌豚300頭一貫経営農場を2005年から2006年に13回訪問し,一腹離乳母豚138頭,ナース後離乳母豚42頭から唾液サンプルを収集した。参考サンプルとして,無作為に選抜した妊娠豚15頭から唾液を収集した。母豚毎に繁殖成績の記録を抽出した。離乳母豚全てのサンプルにおける唾液中PRG濃度上位25%をHIGHグループ(≥3.1ng/ml),それ以外をOTHERグループと分類した。分析には混合効果モデルを用い,統計的検出力も算出した。一腹離乳母豚とナース後離乳母豚は,妊娠豚よりも唾液中PRG濃度が低かった(2.1 and 3.0 vs. 4.1ng/ml ; P<0.01)。一腹離乳母豚とナース後離乳母豚では,繁殖成績に差はなかった。HIGHグループは,OTHERグループよりも次産時生存産子数が0.7頭少なかった(P<0.05)。授乳期に背脂肪厚が増加した母豚は,減少した母豚よりもHIGHグループになる割合が17.1%高くなる傾向があり(P=0.068 ; Power=0.373),離乳後初回交配日数が0.8日長かった(P<0.05)。離乳時の高い唾液中PRG濃度は少ない次産時生存産子数に関連していた。この関連性は,授乳期の増加背脂肪厚に関係しているかもしれない。
Bibliography:762714
ZZ00015317
ISSN:1343-2583
1881-2562
DOI:10.2743/jve.12.36