オキナワモズク盤状体の直立体初期形成におよぼす光量および栄養添加の影響

オキナワモズクの直立体の発芽に及ぼす光量および培地への栄養添加の有無の影響を2系統の胞子体由来の盤状体を用いて調べた。両系統ともに栄養塩類が極めて多く含まれるPESI培地のほうが栄養添加しない滅菌海水よりも盤状体は早期に成長し,前発芽体形成率(Pre-germling[PG]率)も高かった。このことは,たとえ低栄養塩環境に生育している本種であっても,成長と形態形成には栄養塩濃度が大きく影響することを示しており,苗床の良し悪しには地下からの局所的な栄養塩供給の有無が影響しているとの仮説を裏付けていると考えられる。また,PG率は栄養添加ありの培養条件では両系統ともに低光量の方が高光量よりも有意に高...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 71; no. 4; pp. 177 - 184
Main Authors 猪股, 英里, 名越, 日佳理, 田中, 厚子, 佐藤, 陽一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 20.12.2023
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ISSN0371-4217
DOI10.11233/aquaculturesci.71.177

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Summary:オキナワモズクの直立体の発芽に及ぼす光量および培地への栄養添加の有無の影響を2系統の胞子体由来の盤状体を用いて調べた。両系統ともに栄養塩類が極めて多く含まれるPESI培地のほうが栄養添加しない滅菌海水よりも盤状体は早期に成長し,前発芽体形成率(Pre-germling[PG]率)も高かった。このことは,たとえ低栄養塩環境に生育している本種であっても,成長と形態形成には栄養塩濃度が大きく影響することを示しており,苗床の良し悪しには地下からの局所的な栄養塩供給の有無が影響しているとの仮説を裏付けていると考えられる。また,PG率は栄養添加ありの培養条件では両系統ともに低光量の方が高光量よりも有意に高かった。このことは,直立体を発芽させる苗床の水深は本養殖よりも比較的深場のほうがよいという養殖現場の経験則にも合致するが,水深によって自然光の波長の割合は異なるため,最適な光量を明らかにする際には波長を考慮する必要がある。
Bibliography:ZZ00008678
951218
ISSN:0371-4217
DOI:10.11233/aquaculturesci.71.177