陸域生態系機能と生態系サービスのリモートセンシングによる評価法(<特集1>生態系サービスの総合的な指標化)

リモートセンシングは、生態系機能や生態系サービスの評価に必要な生態系の地理的広がりやその時間的変動について知ることのできる有効な観測技術である。リモートセンシングは一般にセンサーとそれを搭載して飛翔するプラットフォームの二つから成る。センサーとしては分光放射計のほか、マイクロ波合成開口レーダーやレーザースキャナが、プラットフォームとしては人工衛星と航空機が利用され、研究目的によってセンサーとプラットフォームの組み合わせが決まる。生態系機能や生態系サービスのリモートセンシングを三つに分類すると、生物の個体や群集を識別し地図化する手法、生態系の分布を推定し地図化する手法、生態系機能や生態系サービス...

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Published inNihon Seitai Gakkai shi Vol. 65; no. 2; pp. 125 - 134
Main Author 鈴木, 力英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生態学会 01.07.2015
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Summary:リモートセンシングは、生態系機能や生態系サービスの評価に必要な生態系の地理的広がりやその時間的変動について知ることのできる有効な観測技術である。リモートセンシングは一般にセンサーとそれを搭載して飛翔するプラットフォームの二つから成る。センサーとしては分光放射計のほか、マイクロ波合成開口レーダーやレーザースキャナが、プラットフォームとしては人工衛星と航空機が利用され、研究目的によってセンサーとプラットフォームの組み合わせが決まる。生態系機能や生態系サービスのリモートセンシングを三つに分類すると、生物の個体や群集を識別し地図化する手法、生態系の分布を推定し地図化する手法、生態系機能や生態系サービスの代理指標を用いて地図化する方法がある。個体を識別するリモートセンシングでは、それを見分けるだけの高解像度が要求されるので、プラットフォームとしては多くの場合衛星ではなく航空機が用いられる。最近では、非常に詳細な分光情報を得ることのできるハイパースペクトル放射計とレーザースキャナを航空機に搭載し、熱帯林などの植物の構造や葉の化学的な組成に踏み込んだリモートセンシングが行われている。生態系の分布を推定するリモートセンシングでは、衛星の分光放射計の観測データを基に熱帯林のオイルパームへの転換について地図化する研究が進んでいる。また、全球規模でも衛星データから土地被覆としての生態系が分類され、その分布地図が作成されている。代理指標を得る方法では、分光放射計のデータから光合成ポテンシャルを代表する葉面積指数を推定したり、マイクロ波合成開口レーダーのデータから森林の地上部バイオマスを推定する研究が発展している。
Bibliography:900216
ZZ00015063
ISSN:0021-5007
2424-127X
DOI:10.18960/seitai.65.2_125