根の呼吸の日中変動とその要因 : 根と葉の結びつきを考慮した生態学研究の新たな可能性 (<特集>根系の水と養分吸収の生理生態)

根の呼吸は通常、温度と強い相関を示すことが知られている。ところが、野外で根が樹木本体につながった状態でヒノキとミズナラの個根の呼吸速度を測定した結果、日中に温度が低下していないにもかかわらず、呼吸速度が一時的に低下する現象が観測された。他の樹種でも温度に依存しない根の呼吸の一時的な低下や変動が同様に観測されていることから、温度に依存しない根の呼吸の日中変動が常緑・落葉に関わらず木本種で広範におこっている可能性がある。この根の呼吸の日中変動が葉の蒸散速度の変化と関係している可能性について筆者らの研究をもとに論じながら、植物の根と葉の結びつきを考慮した生態学研究の新たな可能性について提示する。...

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Published inNihon Seitai Gakkai shi Vol. 59; no. 1; pp. 55 - 63
Main Authors 坂田, 剛, 別宮(坂田), 有紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生態学会 01.03.2009
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ISSN0021-5007
2424-127X
DOI10.18960/seitai.59.1_55

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Summary:根の呼吸は通常、温度と強い相関を示すことが知られている。ところが、野外で根が樹木本体につながった状態でヒノキとミズナラの個根の呼吸速度を測定した結果、日中に温度が低下していないにもかかわらず、呼吸速度が一時的に低下する現象が観測された。他の樹種でも温度に依存しない根の呼吸の一時的な低下や変動が同様に観測されていることから、温度に依存しない根の呼吸の日中変動が常緑・落葉に関わらず木本種で広範におこっている可能性がある。この根の呼吸の日中変動が葉の蒸散速度の変化と関係している可能性について筆者らの研究をもとに論じながら、植物の根と葉の結びつきを考慮した生態学研究の新たな可能性について提示する。
Bibliography:ZZ00015063
772533
ISSN:0021-5007
2424-127X
DOI:10.18960/seitai.59.1_55