マイクロサテライト DNA マーカーから見た伊勢湾内のアサリの遺伝的集団構造

伊勢湾におけるアサリの資源管理に有用な情報であるアサリの遺伝的集団構造の推測を試みた。アサリ稚貝(殻長20 mm 未満)を2013年と2014年の5月と11月に,伊勢湾内6地点および三河湾1地点から採集し,各集団24個あるいは25個体について4座のマイクロサテライト DNA マーカーを用いて解析した。グループ化による分子分散分析を行った結果,グループ間の異質性(FCT)は採集期(FCT = 0.00590,P = 0.00000)によるグループ化で有意であったのに対して,採集地点間(FCT = -0.00142,P = 0.83773)では有意ではなかった。この結果は,各採集地点で着底期毎に遺...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 66; no. 3; pp. 209 - 216
Main Authors 佐野, 菜採, 長谷川, 夏樹, 羽生, 和弘, 宮脇, 大, 古丸, 明, 桑原, 久実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水産増殖学会 2018
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Summary:伊勢湾におけるアサリの資源管理に有用な情報であるアサリの遺伝的集団構造の推測を試みた。アサリ稚貝(殻長20 mm 未満)を2013年と2014年の5月と11月に,伊勢湾内6地点および三河湾1地点から採集し,各集団24個あるいは25個体について4座のマイクロサテライト DNA マーカーを用いて解析した。グループ化による分子分散分析を行った結果,グループ間の異質性(FCT)は採集期(FCT = 0.00590,P = 0.00000)によるグループ化で有意であったのに対して,採集地点間(FCT = -0.00142,P = 0.83773)では有意ではなかった。この結果は,各採集地点で着底期毎に遺伝的に異なる集団が着底していることを示し,湾内の各地域で生まれた浮遊幼生が沖合で混合してメタ個体群を形成していることを示唆した。
Bibliography:ZZ00008678
925605
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.66.209