強制運動とその後の遊泳回復がマアジのヤケ肉発生に及ぼす影響

本研究では,強制運動とその後の遊泳回復がマアジの筋肉中グリコーゲン量および乳酸量とヤケ肉発生に及ぼす影響を検討した。背部普通筋の致死直後におけるグリコーゲン量は,強制運動により減少した。保存中に生成する乳酸量は,回復試料魚では対照試料魚より低い傾向を示した。回復試料魚では致死方法にかかわらず,30°C保存中における筋肉 pH の低下と感覚色度 L∗値の上昇が緩やかであった。対照試料魚では,pH,L∗値,肉眼観察からヤケ肉が発生したと判断されたが,回復試料魚では保存期間を通してヤケ肉の発生は認められなかった。以上の結果より,強制運動とその後の遊泳回復により致死前の筋肉中グリコーゲン量を低減させる...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 63; no. 1; pp. 99 - 104
Main Authors 宮崎, 里帆, 山口, 蓮寿実, 黄, 耿琳, 平坂, 勝也, 竹下, 哲史, 谷山, 茂人, 橘, 勝康
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本水産増殖学会 01.03.2015
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Summary:本研究では,強制運動とその後の遊泳回復がマアジの筋肉中グリコーゲン量および乳酸量とヤケ肉発生に及ぼす影響を検討した。背部普通筋の致死直後におけるグリコーゲン量は,強制運動により減少した。保存中に生成する乳酸量は,回復試料魚では対照試料魚より低い傾向を示した。回復試料魚では致死方法にかかわらず,30°C保存中における筋肉 pH の低下と感覚色度 L∗値の上昇が緩やかであった。対照試料魚では,pH,L∗値,肉眼観察からヤケ肉が発生したと判断されたが,回復試料魚では保存期間を通してヤケ肉の発生は認められなかった。以上の結果より,強制運動とその後の遊泳回復により致死前の筋肉中グリコーゲン量を低減させると,死後の乳酸生成とそれに伴う筋肉 pH の低下,感覚色度 L∗値の上昇抑制が認められ,ひいてはヤケ肉発生を抑制すると考えられた。
Bibliography:ZZ00008678
891514
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.63.99