昆虫細胞で発現させた日本産ジョロウグモ Nephila clavata の横糸タンパク質
バキュロウイルス発現系を用いてジョロウグモ横糸タンパク質を昆虫細胞で発現させた。予想される分子量を持つ横糸タンパク質の発現が,大腸菌で見られた変則的な発現を伴わず,可溶性分画中に確認された。沸騰水中での10分間の熱処理で発現産物は変性沈殿することなく安定だった。この熱安定性は,横糸タンパク質の簡単で効率的な精製法として利用できることを示した。横糸が200%にも及ぶ伸び率を持つのは,横糸タンパク質の GPGGX モチーフがβ-スパイラル構造というタンパク質の二次構造をとるためと予想されている。我々は昆虫細胞で発現させた日本産ジョロウグモの1エクソン分の横糸タンパク質がβ構造をとり得ることを確認し...
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Published in | Nihon sanshigaku zasshi Vol. 73; no. 1; pp. 23 - 29 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本蚕糸学会
2004
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Summary: | バキュロウイルス発現系を用いてジョロウグモ横糸タンパク質を昆虫細胞で発現させた。予想される分子量を持つ横糸タンパク質の発現が,大腸菌で見られた変則的な発現を伴わず,可溶性分画中に確認された。沸騰水中での10分間の熱処理で発現産物は変性沈殿することなく安定だった。この熱安定性は,横糸タンパク質の簡単で効率的な精製法として利用できることを示した。横糸が200%にも及ぶ伸び率を持つのは,横糸タンパク質の GPGGX モチーフがβ-スパイラル構造というタンパク質の二次構造をとるためと予想されている。我々は昆虫細胞で発現させた日本産ジョロウグモの1エクソン分の横糸タンパク質がβ構造をとり得ることを確認した。このことは,昆虫細胞で発現させた横糸タンパク質が,クモによって出糸される横糸の性状を有している可能性を示唆するものである。 |
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Bibliography: | ZZ00018606 700512 |
ISSN: | 0037-2455 1884-796X |
DOI: | 10.11416/kontyushigen.73.23 |