高知県産香酸柑橘ブシュカン果皮の乳酸発酵による利用の試み

ブシュカンは,高知県の四万十市で多く栽培されている香酸柑橘の1つである.ブシュカンは特徴的な芳香をもち,四万十市域では果汁とともに果皮も利用され,香りが楽しまれている.一方で,商業的に果汁を搾ったあとの果皮は廃棄物となるため,その利用を試みた.果皮に新たな付加価値を付与することを目的として,乳酸桿菌を用いた乳酸発酵を行った.ブシュカンの花から新たに分離したLatilactobacillus sakei,石鎚黒茶由来のLactoplantibacillus plantalumまたはLevilactobacillus brevisと,ペースト状にし,スクロースを添加したブシュカン果皮とを混合し,3...

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Published inJapan Journal of Food Engineering Vol. 23; no. 3; pp. 87 - 94
Main Authors 奈良, 一寛, 堀江, 祐範, 秋田, 紘長, 高山, 竜大, 中道, 優介, 田村, 吉教
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本食品工学会 15.09.2022
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ISSN1345-7942
1884-5924
DOI10.11301/jsfe.22609

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Summary:ブシュカンは,高知県の四万十市で多く栽培されている香酸柑橘の1つである.ブシュカンは特徴的な芳香をもち,四万十市域では果汁とともに果皮も利用され,香りが楽しまれている.一方で,商業的に果汁を搾ったあとの果皮は廃棄物となるため,その利用を試みた.果皮に新たな付加価値を付与することを目的として,乳酸桿菌を用いた乳酸発酵を行った.ブシュカンの花から新たに分離したLatilactobacillus sakei,石鎚黒茶由来のLactoplantibacillus plantalumまたはLevilactobacillus brevisと,ペースト状にし,スクロースを添加したブシュカン果皮とを混合し,37℃で4日間保持した.4日後のブシュカンペーストでは,酸度の上昇とpHの低下がみられた.また,乳酸量が増加していたことから,乳酸発酵が行われたと考えられた.L. sakeiおよびL. plantarumによる発酵物について, d -アミノ酸の産生が認められた.これらのことから,ブシュカン果皮の乳酸発酵は,果皮に機能性を付与し,新たな利用可能性を与えると考えられる.
Bibliography:ZZ20014033
945369
ISSN:1345-7942
1884-5924
DOI:10.11301/jsfe.22609