最大エントロピー法を利用した魚類心拍変動の周波数分析

一方、心電図にはこのような数拍分の拍動間隔を平均した心拍数のみならず、他の多くの生理情報が含まれているため、魚類の心電図解析においてもその詳細な解析の重要性が指摘されている。中でも多数の連続した心拍間隔のゆらぎが自律神経系の緊張状態を表すことが高等動物において既に知られており、魚類においても時系列の周波数成分から生理状態を推測することが可能であると考えられる。しかし、これまで行われてきた魚類心電図を利用した研究では、心拍変動の周期性について詳細に検討した事例は少なく、卓越周波数成分が自律神経のどのような状態を表すのかについても明らかにされていない。陸上動物と比較してノイズ混入等の障害の多い魚類...

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Published in日本水産工学会誌 Vol. 38; no. 2; pp. 145 - 150
Main Authors 小島, 隆人, 吉崎, 康仁, 根石, 裕大, 添田, 秀男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水産工学会 2001
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ISSN0916-7617
2189-7131
DOI10.18903/fisheng.38.2_145

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Summary:一方、心電図にはこのような数拍分の拍動間隔を平均した心拍数のみならず、他の多くの生理情報が含まれているため、魚類の心電図解析においてもその詳細な解析の重要性が指摘されている。中でも多数の連続した心拍間隔のゆらぎが自律神経系の緊張状態を表すことが高等動物において既に知られており、魚類においても時系列の周波数成分から生理状態を推測することが可能であると考えられる。しかし、これまで行われてきた魚類心電図を利用した研究では、心拍変動の周期性について詳細に検討した事例は少なく、卓越周波数成分が自律神経のどのような状態を表すのかについても明らかにされていない。陸上動物と比較してノイズ混入等の障害の多い魚類生体電気情報の定量的解析技術の進展が魚類生理の詳細な解明に必要であり、水産情報工学的に解決すべき課題でもある。本報告では、魚類心電図から心拍間隔時系列の周波数成分を求め、その卓越成分をもとに自律神経系の状態を推測する際の指針を得ることを目的とした。
Bibliography:ZZ00011795
661209
ISSN:0916-7617
2189-7131
DOI:10.18903/fisheng.38.2_145