シマウキゴリの胚発生過程

20℃におけるシマウキゴリの胚発生過程を詳細に観察した。さらに, 卵割期における単一割球の標識実験により, 胚盤における分化の方向性が決定される時期を明らかにした。その結果, 未受精卵の段階から細胞質が卵黄から分離していること, 体節形成期に至るまで胚細胞中には卵黄顆粒が分布しているが体節形成期以降消失し胚体が透明化すること, 第3卵割以降, 卵割の様式が不規則になることが明らかとなった。また, 16細胞期から32細胞期に標識された細胞追跡の結果, 胞胚期から初期嚢胚期まで, 標識細胞は未標識の細胞と胚盤内で大規模な混合を起こすことが明らかとなった。この結果は, 初期嚢胚期まで胚盤の細胞は分化...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 52; no. 2; pp. 177 - 184
Main Authors 斎藤, 大樹, 山羽, 悦郎, 荒井, 克俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水産増殖学会 01.06.2004
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ISSN0371-4217
2185-0194
DOI10.11233/aquaculturesci1953.52.177

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Summary:20℃におけるシマウキゴリの胚発生過程を詳細に観察した。さらに, 卵割期における単一割球の標識実験により, 胚盤における分化の方向性が決定される時期を明らかにした。その結果, 未受精卵の段階から細胞質が卵黄から分離していること, 体節形成期に至るまで胚細胞中には卵黄顆粒が分布しているが体節形成期以降消失し胚体が透明化すること, 第3卵割以降, 卵割の様式が不規則になることが明らかとなった。また, 16細胞期から32細胞期に標識された細胞追跡の結果, 胞胚期から初期嚢胚期まで, 標識細胞は未標識の細胞と胚盤内で大規模な混合を起こすことが明らかとなった。この結果は, 初期嚢胚期まで胚盤の細胞は分化多能性を有していることを示唆している。
Bibliography:ZZ00008678
692854
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci1953.52.177