アシストスーツの農業利用に関するアンケート調査

農業でのアシストスーツの普及上の課題を明らかにするため,農作業で負担となる作業及びその身体負担部位,アシストスーツへの期待項目などについてアンケート調査を行った.調査は,2018年の農業機械士全国大会の参加者約150人を対象に行い,農家など43人の回答を得た.きついと感じると回答のあった農作業のうち,重量物の持ち上げや運搬作業などアシストスーツが補助対象とする姿勢・作業が多く挙げられた.また,特に負担を感じる身体部位として,アシストスーツの主要な補助目的部位である「腰」が66.0%,「うで」が31.1%を占めた.一方,アシストスーツに期待する効果は,腰痛予防などの予防効果への期待が88.4%と...

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Published in農作業研究 Vol. 57; no. 1; pp. 21 - 29
Main Authors 田中, 正浩, 原田, 泰弘, 梅野, 覚, 菊池, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農作業学会 20.03.2022
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Summary:農業でのアシストスーツの普及上の課題を明らかにするため,農作業で負担となる作業及びその身体負担部位,アシストスーツへの期待項目などについてアンケート調査を行った.調査は,2018年の農業機械士全国大会の参加者約150人を対象に行い,農家など43人の回答を得た.きついと感じると回答のあった農作業のうち,重量物の持ち上げや運搬作業などアシストスーツが補助対象とする姿勢・作業が多く挙げられた.また,特に負担を感じる身体部位として,アシストスーツの主要な補助目的部位である「腰」が66.0%,「うで」が31.1%を占めた.一方,アシストスーツに期待する効果は,腰痛予防などの予防効果への期待が88.4%と多くを占め,つらい姿勢が楽になるなどの負担軽減効果を上回った.また,取扱性では,体の動きとの一体感や着脱の容易性,軽量化や着心地に対する要望が多くを占めた.購入を検討する金額は機種ごとに分かれたが,おおむね市販価格よりも低価格であった.以上の結果から,既存のアシストスーツは,農作業で問題となり得る多くの姿勢や作業に適用できる可能性があったが,農家からは軽労化よりも腰痛等の予防効果に関する期待が大きかった.さらに,軽量化や低価格化だけでなく,使用者訓練の機会の提供,着脱しやすさの改善,他の作業や動作を妨害しない装着性,快適性の向上も重要である.
ISSN:0389-1763
1883-2261
DOI:10.4035/jsfwr.57.21