定置型イチゴ収穫ロボットによる糖度計測技術の開発

定置型イチゴ収穫ロボットに付加可能な糖度計測システムを試作し,精度を調べた結果,以下の知見を得た.1) イチゴの果実全体の糖度と,赤道部および果頂部付近の糖度の関係を調べた結果,赤道部付近で全体との相関係数が0.89と高く,果頂部付近よりも分光計測の目標部位として適していることがわかった.2) 近赤外分光法によるイチゴ糖度の非接触計測を目指し,反射方式と透過方式を比較した結果,反射方式では実測値に対する推定値の相関係数が0.78,RMSEが0.72 Brix %,透過方式では実測値に対する推定値の相関係数が0.79,RMSEが0.69 Brix %であり,両者に有意な差は無かった.3) イチゴ...

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Published in植物環境工学 Vol. 31; no. 1; pp. 31 - 41
Main Authors 坪田, 将吾, 手島, 司, 山本, 聡史, 小林, 有一, 中山, 夏希, ロアン, グェン ティ タン, 林, 茂彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生物環境工学会 2019
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Summary:定置型イチゴ収穫ロボットに付加可能な糖度計測システムを試作し,精度を調べた結果,以下の知見を得た.1) イチゴの果実全体の糖度と,赤道部および果頂部付近の糖度の関係を調べた結果,赤道部付近で全体との相関係数が0.89と高く,果頂部付近よりも分光計測の目標部位として適していることがわかった.2) 近赤外分光法によるイチゴ糖度の非接触計測を目指し,反射方式と透過方式を比較した結果,反射方式では実測値に対する推定値の相関係数が0.78,RMSEが0.72 Brix %,透過方式では実測値に対する推定値の相関係数が0.79,RMSEが0.69 Brix %であり,両者に有意な差は無かった.3) イチゴ収穫ロボットに果柄を把持された状態の果実に対し,RGB-Depthセンサで撮影したRGB画像と距離画像を用いた画像処理によって姿勢の推定と赤道部の検出を行い,検出した赤道部が近赤外分光器の採光部と一定距離になるようロボットアームが動作した後,反射方式の分光計測により果実糖度を推定する糖度計測システムを開発した.本システムによるイチゴ果実の姿勢の推定結果は,Roll角では推定値と実測値の相関係数は0.97,RMSEは3.0 ° であり,Pitch角では推定値と実測値の相関係数は0.90,RMSEは6.7 ° であった.姿勢制御後に果実の赤道部を検出し,近赤外分光器の採光部との距離をロボットアームにより制御した結果,目標5 mmに対して平均3.8 mm(標準偏差1.3 mm)であった.そして,位置決め制御後の分光計測結果から推定された糖度は,平均実測値8.0 Brix %(標準偏差 1.0 Brix %)の果実102果を供試した場合,平均8.2 Brix %(標準偏差1.0 Brix %),推定値と実測値の相関係数が0.66,RMSEが0.80 Brix %であり,開発した糖度計測システムは,RGB-Depthセンサによらない位置決め後に分光計測を行う「手動計測」と同等な糖度推定が可能であった.
Bibliography:926936
ZZ20020518
ISSN:1880-2028
1880-3563
DOI:10.2525/shita.31.31