硬肉タイプのモモを軟化させるための簡便なエチレン処理方法

成熟期に達しても果肉が硬く、収穫後の日持ち性も極めて良い硬肉タイプのモモを簡易に軟化することができる技術を開発するため、エチレン発生剤とガス透過性の低い機能性段ボール箱を利用したエチレンの処理手法について検討した。キウイフルーツの追熟用に市販されているエチレン発生剤のエチレン発生量を約3分の1に、エチレン発生速度を遅くした改良型発生剤、および機能性段ボール箱を組み合わせることにより、箱内のエチレンを軟化に必要な5〜10ppm程度に3日間保持することができた。本組み合わせにより、硬肉タイプのモモ‘おどろき’および‘まなみ’の果実に対して収穫翌日に15℃、25℃および30℃でエチレン処理を行ったと...

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Published inFood preservation science Vol. 35; no. 5; pp. 235 - 240
Main Authors 阪本, 大輔, 中村, ゆり, 羽山, 裕子, 樫村, 芳記
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本食品保蔵科学会 2009
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ISSN1344-1213
2186-1277
DOI10.5891/jafps.35.235

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Summary:成熟期に達しても果肉が硬く、収穫後の日持ち性も極めて良い硬肉タイプのモモを簡易に軟化することができる技術を開発するため、エチレン発生剤とガス透過性の低い機能性段ボール箱を利用したエチレンの処理手法について検討した。キウイフルーツの追熟用に市販されているエチレン発生剤のエチレン発生量を約3分の1に、エチレン発生速度を遅くした改良型発生剤、および機能性段ボール箱を組み合わせることにより、箱内のエチレンを軟化に必要な5〜10ppm程度に3日間保持することができた。本組み合わせにより、硬肉タイプのモモ‘おどろき’および‘まなみ’の果実に対して収穫翌日に15℃、25℃および30℃でエチレン処理を行ったところ、両品種とも何れの処理温度でも3日間の処理で果実は速やかに軟化した。ただし、‘まなみ’では果肉が粉質化する傾向が認められた。なお、いずれの処理においても、処理期間中における機能性段ボール箱内の二酸化炭素濃度および酸素濃度は、それぞれ2.2%以下、18.3%以上であったことから果実にガス障害が発生する危険性は低いと考えられた。一方、10℃および15℃で2週間貯蔵した‘おどろき’果実に対して25℃でエチレン処理を行った場合、2日間の処理で果実は軟化したが、軟化後の肉質は収穫翌日に処理した場合に比べて、滑らかさに欠けた。
Bibliography:ZZ00016464
781147
ISSN:1344-1213
2186-1277
DOI:10.5891/jafps.35.235