ボールミル処理により形成した非晶質米粉の吸湿性の低下

本研究では,ボールミル処理により形成される非晶質米粉の吸湿性の低下について検討した。ボールミル処理は,部分結晶状態の澱粉を非晶質状態へと転換させ,引き続く処理によりエンタルピー緩和を促進させること,澱粉の吸湿性の低下をもたらすことが先行研究により報告されている。しかしながら,これまでの先行研究においては,澱粉の非晶質化までにおよそ20時間を要しており,容器の大きさが小さかったことから実生産には向かなかった。本研究では,先行研究よりも処理量の大きなボールミル機を用いて米粉を作成した。各試料の結晶性の確認は,X線回折測定を用いて行った。また,エンタルピー緩和量(ΔH)を,示差走査型熱量計(DSC)...

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Published inJapan Journal of Food Engineering Vol. 15; no. 3; pp. 173 - 179
Main Authors 安斎, 真由美, 深見, 健, 渡辺, 学, 鈴木, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.09.2014
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Summary:本研究では,ボールミル処理により形成される非晶質米粉の吸湿性の低下について検討した。ボールミル処理は,部分結晶状態の澱粉を非晶質状態へと転換させ,引き続く処理によりエンタルピー緩和を促進させること,澱粉の吸湿性の低下をもたらすことが先行研究により報告されている。しかしながら,これまでの先行研究においては,澱粉の非晶質化までにおよそ20時間を要しており,容器の大きさが小さかったことから実生産には向かなかった。本研究では,先行研究よりも処理量の大きなボールミル機を用いて米粉を作成した。各試料の結晶性の確認は,X線回折測定を用いて行った。また,エンタルピー緩和量(ΔH)を,示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定を行った。さらに,米粉の25℃における水分収着等温線を簡易デシゲータ法にて測定し二元収着モデル式で解析を行い,これらの各測定から米粉の物理化学特性を評価した。その結果,先行研究と同様に,米粉のエンタルピー緩和量はボールミル処理時間の増加とともに増加する傾向を示し,一方で,単分子層収着が飽和したときの収着量を示すC’Hは,処理時間に伴い低下する傾向を示したことから,本研究によりボールミル処理は米粉の吸湿特性を改善させ,ボールミル処理機が大きくなっても同様の物理化学的特性を有する米粉を作成できる可能性が見出された。
Bibliography:873421
ZZ20014033
ISSN:1345-7942
DOI:10.11301/jsfe.15.173