‘ヒュウガナツ’の枝変わり品種 ‘古山ニューサマー’ の受粉および結実特性

‘ヒュウガナツ’ の枝変わり品種である ‘古山ニューサマー’ について,無核果が ‘ヒュウガナツ’ に比べて多く生産される要因を検討した.‘古山ニューサマー’ および ‘ヒュウガナツ’ の自家受粉における柱頭内の花粉管伸長を調べたところ,両カンキツ種ともに花粉管の伸長は花柱上部で停止し,花柱中部および下部では認められなかったことから,‘古山ニューサマー’ は,‘ヒュウガナツ’ と同様に自家不和合性を有していることが明らかになった.また,除雄後に小袋を掛けることで花粉を遮断した条件下における ‘古山ニューサマー’ の着果率を ‘ヒュウガナツ’,‘ヒュウガナツ’ の枝変わり品種である ‘西内小夏’...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 19; no. 3; pp. 229 - 235
Main Authors 馬場, 明子, 前田, 未野里, 浜部, 直哉, 野田, 勝二, 勝岡, 弘幸, 久松, 奨, 種石, 始弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2020
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ISSN1347-2658
1880-3571
DOI10.2503/hrj.19.229

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Summary:‘ヒュウガナツ’ の枝変わり品種である ‘古山ニューサマー’ について,無核果が ‘ヒュウガナツ’ に比べて多く生産される要因を検討した.‘古山ニューサマー’ および ‘ヒュウガナツ’ の自家受粉における柱頭内の花粉管伸長を調べたところ,両カンキツ種ともに花粉管の伸長は花柱上部で停止し,花柱中部および下部では認められなかったことから,‘古山ニューサマー’ は,‘ヒュウガナツ’ と同様に自家不和合性を有していることが明らかになった.また,除雄後に小袋を掛けることで花粉を遮断した条件下における ‘古山ニューサマー’ の着果率を ‘ヒュウガナツ’,‘ヒュウガナツ’ の枝変わり品種である ‘西内小夏’ および ‘室戸小夏’ と比較したところ,生理落果後における ‘古山ニューサマー’ の着果率は60.8%であり,‘西内小夏’ の2.5%,‘室戸小夏’ の12.5%および ‘ヒュウガナツ’ の8.3%に比べて高かった.このことから,‘古山ニューサマー’ は ‘ヒュウガナツ’ に比べて強い単為結果性を有していることが明らかになった.また,‘古山ニューサマー’ の単為結果は,花粉を遮断した条件下で,かつジベレリンなどの化学薬剤を用いずに誘起されたことから,自動的単為結果であると考えられた.これらのことから,‘古山ニューサマー’ は自家不和合性を有し,かつ自動的単為結果性を有することが明らかになり,‘ヒュウガナツ’ に比べて強い単為結果性を有していることが,無核果を多く生産できる要因であると考えられた.
Bibliography:ZZ20004168
935009
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.19.229