福島第一原子力発電所事故由来137Csによる2012年のスギ樹皮の垂直汚染分布

東京電力福島第一原子力発電所事故由来の137Csによるスギ(Cryptomeria japonica)樹皮の垂直方向の137Cs濃度分布を2012年に福島県内の複数地域で調査した。空間線量率が異なる福島県内の7箇所の森林で合計12本のスギ成木を伐倒し,高さ別に樹皮サンプルを採取して,樹皮あるいは外樹皮および内樹皮の乾燥重量あたりの137Cs濃度をNaI検出器を用いて測定した。各調査木の樹皮137Cs濃度の垂直分布を,地表面に最も近い高さの濃度を基準として指数化し,さらに各立木の先端からの距離を基準として調査木間で比較した。その結果,スギ樹皮の137Cs濃度分布には根元の高さから立木先端に向かっ...

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Published in森林立地 Vol. 61; no. 1; pp. 15 - 22
Main Authors 小川, 秀樹, 横田, かほり, 新井, 志緒, 櫻井, 哲史, 吉田, 博久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 森林立地学会 25.06.2019
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Summary:東京電力福島第一原子力発電所事故由来の137Csによるスギ(Cryptomeria japonica)樹皮の垂直方向の137Cs濃度分布を2012年に福島県内の複数地域で調査した。空間線量率が異なる福島県内の7箇所の森林で合計12本のスギ成木を伐倒し,高さ別に樹皮サンプルを採取して,樹皮あるいは外樹皮および内樹皮の乾燥重量あたりの137Cs濃度をNaI検出器を用いて測定した。各調査木の樹皮137Cs濃度の垂直分布を,地表面に最も近い高さの濃度を基準として指数化し,さらに各立木の先端からの距離を基準として調査木間で比較した。その結果,スギ樹皮の137Cs濃度分布には根元の高さから立木先端に向かって濃度が増加する傾向が認められた。また,内樹皮の137Cs濃度は垂直方向でほぼ一定の値となる傾向にあり,さらに,樹皮に含まれる137Csのほとんどが外樹皮に分布していた。以上の結果から,汚染度が異なる森林で生育し,また樹高の異なる立木であっても,2012年のスギには立木先端に向かって樹皮表面の137Cs汚染が上昇する共通の傾向があることが明らかとなった。
Bibliography:ZZ00007967
928321
ISSN:0388-8673
2189-6275
DOI:10.18922/jjfe.61.1_15