常温保存下における照射レトルト牛丼中2-アルキルシクロブタノンの安定性について

2-アルキルシクロブタノン(ACBs)は,放射線照射により食品中に含まれる脂肪酸から特異的に生じ,食品の照射履歴の検知指標として有用な物質である。本研究では,常温保存下でのACBsの安定性を評価することを目的に,常温長期保存食であるレトルト包装された牛丼の具(レトルト牛丼)を照射試料に選定し,照射レトルト牛丼中に生成した2-ドデシルシクロブタノン(DCB)および2-テトラデシルシクロブタノン(TCB)の濃度を照射直後から12ヶ月間経時的に追跡した。常温条件でレトルト牛丼に0.6,1.9,2.7および 4.5 kGyの4線量を照射したところ,照射直後では全ての試料からDCBおよびTCBが検出され...

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Published in食品照射 Vol. 49; no. 1; pp. 3 - 8
Main Authors 北川, 陽子, 起橋, 雅浩, 高取, 聡, 福井, 直樹, 梶村, 計志, 尾花, 裕孝, 古田, 雅一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品照射研究協議会 2014
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Summary:2-アルキルシクロブタノン(ACBs)は,放射線照射により食品中に含まれる脂肪酸から特異的に生じ,食品の照射履歴の検知指標として有用な物質である。本研究では,常温保存下でのACBsの安定性を評価することを目的に,常温長期保存食であるレトルト包装された牛丼の具(レトルト牛丼)を照射試料に選定し,照射レトルト牛丼中に生成した2-ドデシルシクロブタノン(DCB)および2-テトラデシルシクロブタノン(TCB)の濃度を照射直後から12ヶ月間経時的に追跡した。常温条件でレトルト牛丼に0.6,1.9,2.7および 4.5 kGyの4線量を照射したところ,照射直後では全ての試料からDCBおよびTCBが検出され,その濃度はDCBおよびTCBともに線量依存的に増大した。常温保存下において,照射6ヶ月および12ヶ月経過後にACBsの濃度を測定したところ,若干増加傾向はあるものの,大きな変化は認められなかった。以上のことから,常温保存条件下においても照射レトルト牛丼中のACBsは安定であり,照射履歴の検知は可能であると考えられた。
Bibliography:ZZ00011622
890832
ISSN:0387-1975
1884-3611
DOI:10.5986/jrafi.49.3