新しく開発された除湿性および保温性の被覆資材を使ったトンネル被覆が単為結果性トマト品種‘京てまり’冬季無加温栽培での果実生産に及ぼす影響

単為結果性トマト品種‘京てまり’の冬季無加温栽培の収量と品質の向上を目的に,新たに開発されたポリビニールアルコールフィルムとポリクロスを貼り合わせた厚さ25 μmのフィルム(以下PVAとする)を用い,無加温プラスティックフィルムハウス内にトンネル状に被覆して,果実生産に及ぼす影響を2011年10月~2012年3月まで調査した.トンネルの被覆資材の対照として,市販の塩化ビニールフィルム(以下PVCとする)を用いた.PVAは,PVCと比較して,2,500~25,000 nmの赤外線域の光線透過率が低く,保温性が高いと考えられた.PVAおよびPVCによるトンネル被覆によって0.5~2.8℃気温が上昇...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 12; no. 2; pp. 141 - 146
Main Authors 札埜, 高志, 片岡, 圭子, 池永, 和義, 西川, 浩次, 滝澤, 理仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2013
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ISSN1347-2658
1880-3571
DOI10.2503/hrj.12.141

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Summary:単為結果性トマト品種‘京てまり’の冬季無加温栽培の収量と品質の向上を目的に,新たに開発されたポリビニールアルコールフィルムとポリクロスを貼り合わせた厚さ25 μmのフィルム(以下PVAとする)を用い,無加温プラスティックフィルムハウス内にトンネル状に被覆して,果実生産に及ぼす影響を2011年10月~2012年3月まで調査した.トンネルの被覆資材の対照として,市販の塩化ビニールフィルム(以下PVCとする)を用いた.PVAは,PVCと比較して,2,500~25,000 nmの赤外線域の光線透過率が低く,保温性が高いと考えられた.PVAおよびPVCによるトンネル被覆によって0.5~2.8℃気温が上昇し,5℃以下の低温遭遇時間はPVAの被覆によってより短くなった.PVAの被覆ではPVCよりもトンネル内の相対湿度が低く,日最高気温が低いなどの特徴がみられた.PVA被覆によって収穫果数は増加し,特に3月の収穫果数の増加が顕著だったが,小さい果実の占める割合が高くなった.糖度は,PVAによって被覆するとPVCによる被覆よりも,どの月でも有意に高かった.これらの結果から,この新たに開発されたフィルムによるトンネル被覆は,トマト‘京てまり’の冬季無加温栽培における収穫果数および品質の向上に有効であると考えられた.
Bibliography:ZZ20004168
851293
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.12.141