下水汚泥堆肥を用いたマッシュルーム栽培培地中の微生物叢解析と 培地内優占微生物の分離培養

国内の下水処理場からは年間227万トンの下水汚泥が排出されており,下水汚泥が有機分を多く含む特性を活かした利活用方法が求められている。これまで,下水汚泥堆肥を培地基材に利用することでマッシュルーム子実体の収量が従来法(牛糞堆肥85%利用)と比較して1.2-1.8倍に増加することを確認している。しかしながら,マッシュルーム子実体の収量が増加した詳細なメカニズムは不明である。本研究では,下水汚泥堆肥を用いたマッシュルーム栽培培地中の微生物叢を培養・分子生物学的手法により解析することで,下水汚泥堆肥由来の微生物群が収量増にどのように関与しているかを生態学的に評価することを目的とした。また,培地内に優...

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Published in土と微生物 Vol. 73; no. 2; pp. 62 - 70
Main Authors 黒田, 恭平, 高津佐, 愛実, 徳田, 裕二郎, 池田, 匠児, 平片, 悠河, 幡本, 将史, 山田, 真義, 山口, 隆司, 八木, 史郎, 山内, 正仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本土壌微生物学会 2019
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Summary:国内の下水処理場からは年間227万トンの下水汚泥が排出されており,下水汚泥が有機分を多く含む特性を活かした利活用方法が求められている。これまで,下水汚泥堆肥を培地基材に利用することでマッシュルーム子実体の収量が従来法(牛糞堆肥85%利用)と比較して1.2-1.8倍に増加することを確認している。しかしながら,マッシュルーム子実体の収量が増加した詳細なメカニズムは不明である。本研究では,下水汚泥堆肥を用いたマッシュルーム栽培培地中の微生物叢を培養・分子生物学的手法により解析することで,下水汚泥堆肥由来の微生物群が収量増にどのように関与しているかを生態学的に評価することを目的とした。また,培地内に優占する微生物群の分離株獲得に向けた培養法の検討を行った。培地中の微生物叢解析の結果,下水汚泥堆肥を30%利用した試験区でBacillales目に属する微生物群が培地の二次発酵後に45.7%と,牛糞堆肥を85%利用した試験区(従来法)の二次発酵後28.9%と比較して多く存在しており,存在割合の違いがマッシュルーム菌糸の成長に影響したと示唆された。培地中の優占微生物群の分離培養法を検討した結果,培地抽出液を基質に利用することで優占種の分離培養に成功した。
Bibliography:ZZ00016779
930449
ISSN:0912-2184
2189-6518
DOI:10.18946/jssm.73.2_62