タマネギ95品種から取得した形質データに基づく多変量解析

タマネギは,国内生産量第3位の重要な野菜品目である.主に北海道向けの春まき(晩生)品種と本州・西南暖地向けの秋まき(早生)品種に分化しており,両品種群を同時に栽培してその特性を比較することは難しい.そのような中で,東北地域で開発された春まき作型では,両品種群を含む幅広い品種を栽培することが可能であることが判明し,今後はこの作型に適応した品種を開発・選定することが望まれている.しかし,これまで東北地域において,品種選抜の基礎となる気象条件を反映した品種・系統の特性データは得られていない.そこで本研究では,海外の品種を含めた遺伝的に多様な95品種・系統を用いて,各2回の春まき・秋まき栽培により計5...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 20; no. 1; pp. 39 - 47
Main Authors 塚崎, 光, 奥, 聡史, 本城, 正憲, 山崎, 篤, 室, 崇人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2021
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Summary:タマネギは,国内生産量第3位の重要な野菜品目である.主に北海道向けの春まき(晩生)品種と本州・西南暖地向けの秋まき(早生)品種に分化しており,両品種群を同時に栽培してその特性を比較することは難しい.そのような中で,東北地域で開発された春まき作型では,両品種群を含む幅広い品種を栽培することが可能であることが判明し,今後はこの作型に適応した品種を開発・選定することが望まれている.しかし,これまで東北地域において,品種選抜の基礎となる気象条件を反映した品種・系統の特性データは得られていない.そこで本研究では,海外の品種を含めた遺伝的に多様な95品種・系統を用いて,各2回の春まき・秋まき栽培により計50形質データを取得した.春まき栽培と秋まき栽培の間で一部の形質を除いて有意な相関が認められたことから,秋まき栽培による安定的な評価が難しい地域では,早生品種においても春まき栽培によって評価できることが示された.各作型において2か年調査した21形質の平均値を中心に30形質データを用いた主成分分析により,主に生育の早晩に特徴付けられる第1主成分,主にりん茎の形質に特徴付けられる第2主成分を見出し,これらの主成分スコアに基づいた散布図およびクラスター分析の結果は,従来の品種群を概ね反映した.
Bibliography:ZZ20004168
936762
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.20.39