ウンシュウミカンにおける相対値を用いたTDR枝内水分測定法による水分状態の把握

従来のTDR枝内水分測定法を用いてウンシュウミカンの水分状態を把握する際,温度依存性,プローブの挿入深度の誤差による測定開始時の値のバラツキが問題となっている.そこで,温度依存性は補正式を作成し,値のバラツキは年間の枝内水分状態が安定する時期を基準点とした相対値の利用を検討した.その結果,枝内温度とTDR値の間には高い相関が認められ,補正式を導き出した.基準点は測定時の気温が30℃以上で土壌が湿潤状態の場合,年間の枝内水分がピークとなる7月上中旬が適していることが明らかとなった.温度補正後のTDR相対値(Rrev)と葉内最大水ポテンシャル(LWP)との間には,強い相関が認められた.月別では7月...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 9; no. 4; pp. 433 - 439
Main Authors 岩崎, 光徳, 深町, 浩, 佐藤, 景子, 今井, 篤, 野中, 圭介, 平岡, 潔志, 奥田, 均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2010
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Summary:従来のTDR枝内水分測定法を用いてウンシュウミカンの水分状態を把握する際,温度依存性,プローブの挿入深度の誤差による測定開始時の値のバラツキが問題となっている.そこで,温度依存性は補正式を作成し,値のバラツキは年間の枝内水分状態が安定する時期を基準点とした相対値の利用を検討した.その結果,枝内温度とTDR値の間には高い相関が認められ,補正式を導き出した.基準点は測定時の気温が30℃以上で土壌が湿潤状態の場合,年間の枝内水分がピークとなる7月上中旬が適していることが明らかとなった.温度補正後のTDR相対値(Rrev)と葉内最大水ポテンシャル(LWP)との間には,強い相関が認められた.月別では7月の相関係数は0.888,8および9月は約0.7となった.10月以降は0.435と中程度の相関となった.一方,TDR値を枝内体積含水率(VWC)に変換した値は,いずれの月においても相関係数は0.3以下であった.さらに,Rrevと気温を用いたLWPの予測式の決定係数は0.712となり,高い精度で予測できる.以上より,本方法は従来のVWC変換値に比べLWPとの相関が高く,樹体の水分状態を一定程度把握できると考えられる.
Bibliography:ZZ20004168
800171
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.9.433