兵庫県中部でみられたホルスタイン種における牛白血病の病態及び発症要因の検討

2009年7~11月に,牛白血病を発症したホルスタイン種18戸18例の病態及び発症要因を調査した.発症牛の外貌異常は22%,血液中の異型リンパ球出現は56%,腫瘍の形態は全例び漫性大細胞リンパ肉腫,29月齢の1例はT細胞由来で牛白血病ウイルス(BLV)陰性,45月齢以上の17例はB細胞由来ですべてBLV I型陽性であった.免疫染色でのP53蛋白の検出は,発症牛で29%陽性,未発症牛の0%に対し有意に高かった.牛免疫不全ウイルス(BIV)検出PCRはすべて陰性であった.牛主要組織適合抗原(BoLA)-DRB3 1501の遺伝子を保有する牛の割合は発症牛で75%であった.その対立遺伝子頻度は発症牛...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 66; no. 2; pp. 109 - 114
Main Authors 富田, 啓介, 矢島, 和枝, 竹嶋, 伸之輔, 加茂前, 優花, 浦本, 京也, 中条, 正樹, 間, 陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.02.2013
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.66.109

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Summary:2009年7~11月に,牛白血病を発症したホルスタイン種18戸18例の病態及び発症要因を調査した.発症牛の外貌異常は22%,血液中の異型リンパ球出現は56%,腫瘍の形態は全例び漫性大細胞リンパ肉腫,29月齢の1例はT細胞由来で牛白血病ウイルス(BLV)陰性,45月齢以上の17例はB細胞由来ですべてBLV I型陽性であった.免疫染色でのP53蛋白の検出は,発症牛で29%陽性,未発症牛の0%に対し有意に高かった.牛免疫不全ウイルス(BIV)検出PCRはすべて陰性であった.牛主要組織適合抗原(BoLA)-DRB3 1501の遺伝子を保有する牛の割合は発症牛で75%であった.その対立遺伝子頻度は発症牛で41%と,BLV感染未発症高齢牛の22%に対し有意に高かった.以上より,発症牛の94%がBLV I型による地方病性牛白血病(EBL)であった.また,BLV発症にはBIV感染は必ずしも必要でないこと,P53蛋白とBoLA-DRB3遺伝子型が,発症に関与する可能性が示唆された.
Bibliography:ZZ00014801
851392
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.66.109