脾臓摘出後のシクロフォスファマイド投与が有効であった免疫介在性血小板減少症の猫の1例

1歳1カ月齢のソマリが血小板減少と体表出血を主訴として精査のため来院した.血液検査,骨髄検査及び除外診断から特発性免疫介在性血小板減少症と診断し,プレドニゾロン単独及び同剤とシクロスポリンによる内科的治療を行った.しかし,治療への反応が乏しく,静注用ヒト免疫グロブリン製剤も一時的な効果しか得られなかったため,脾臓摘出を行ったところ,血小板数は回復した.しかし,その後のプレドニゾロン減量で血小板減少が再発した.そこでプレドニゾロンとシクロフォスファマイドの併用療法を行ったところ,血小板数は速やかに回復し,その後も良好な結果が得られた.本症例で,猫の免疫介在性血小板減少症に対して各種薬剤による治療...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 67; no. 4; pp. 269 - 273
Main Authors 阿野, 仁志, 藤野, 美保, 片本, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.04.2014
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Summary:1歳1カ月齢のソマリが血小板減少と体表出血を主訴として精査のため来院した.血液検査,骨髄検査及び除外診断から特発性免疫介在性血小板減少症と診断し,プレドニゾロン単独及び同剤とシクロスポリンによる内科的治療を行った.しかし,治療への反応が乏しく,静注用ヒト免疫グロブリン製剤も一時的な効果しか得られなかったため,脾臓摘出を行ったところ,血小板数は回復した.しかし,その後のプレドニゾロン減量で血小板減少が再発した.そこでプレドニゾロンとシクロフォスファマイドの併用療法を行ったところ,血小板数は速やかに回復し,その後も良好な結果が得られた.本症例で,猫の免疫介在性血小板減少症に対して各種薬剤による治療効果の検討を試みた結果,薬物治療に反応が乏しい場合でも,脾摘と薬物療法の組み合わせが効果的である可能性が示唆された.
Bibliography:ZZ00014801
872225
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.67.269