牛におけるγδT細胞性リンパ腫2例の病理学的特徴

2例のホルスタイン種雌牛にみられたリンパ腫につき,病理組織学的及び免疫組織化学的特徴について調べた.2例ともCD3,CD5及びWC1に陽性で,ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)に陰性を示したことから,末梢のγδT細胞に由来する腫瘍と考えられた.症例1では,腫瘍細胞の核は円形ないし類円形で,大部分の細胞が細胞質内に好酸性顆粒を有し,γδT細胞性リンパ腫,過剰顆粒型と診断された.一方,症例2では,腫瘍細胞は種々の大きさと高度の核形不整を呈し,従来のγδT細胞性リンパ腫とは細胞形態学的に異なっており,多形型γδT細胞性リンパ腫と診断された.この腫瘍と多形型B細胞性リンパ腫を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 72; no. 6; pp. 361 - 365
Main Authors 梅島, 典子, 東海林, 彰, 木村, 政明, 新堂, 美穂, 石川, 義春, 門田, 耕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.06.2019
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:2例のホルスタイン種雌牛にみられたリンパ腫につき,病理組織学的及び免疫組織化学的特徴について調べた.2例ともCD3,CD5及びWC1に陽性で,ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)に陰性を示したことから,末梢のγδT細胞に由来する腫瘍と考えられた.症例1では,腫瘍細胞の核は円形ないし類円形で,大部分の細胞が細胞質内に好酸性顆粒を有し,γδT細胞性リンパ腫,過剰顆粒型と診断された.一方,症例2では,腫瘍細胞は種々の大きさと高度の核形不整を呈し,従来のγδT細胞性リンパ腫とは細胞形態学的に異なっており,多形型γδT細胞性リンパ腫と診断された.この腫瘍と多形型B細胞性リンパ腫を細胞形態のみで区別するのは比較的難しい場合があり,多形性を示す牛のリンパ腫の診断には免疫組織学的な鑑別が必要である.
Bibliography:ZZ00014801
928066
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.72.361